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2008年05月02日(金) 00時00分

田代砲(たしろほう)読売新聞


絵・唐沢なをき/文・唐沢よしこ

 もうひとつ、前回のF5攻撃と並んでよく知られている、田代砲の話をいたしましょう。田代砲はDoS攻撃を行うためのスクリプト(簡単なプログラム)のことですワン。

 もともとはアンケートサイトへ一度に何票も投票するために作られた、自動連続投票スクリプトでした。

 最初に田代砲が使われたのは、2001年末。アメリカの雑誌「タイム」が毎年行っている、その年を代表する人物を選ぶ「パーソンオブザイヤー」という企画のネット投票でのことす。

 このころ、人気タレントだった田代まさしが覗き、覚せい剤所持で逮捕されるという事件が起こり、主に巨大掲示板サイトの2ちゃんねるに集う人々の間でたいへん話題になりました。それで「パーソンオブザイヤーで田代を一位にしよう」と悪ノリする人々が現れ、大量に組織票が投じられました。ここで使われた連続投票スクリプトが「田代砲」というわけですワン。

 このとき、大勢の人が一斉に田代砲で投票したため、タイム誌のサーバはダウンしてしまいました。意図的ではなかったのですが、DoS攻撃と同じ状態になってしまったわけですな。その後、田代砲はいろいろ亜種が作られ、組織票投票や荒らし行為に使われたりして、現在はDoS攻撃ツールとして知られています。

 これは田代砲に限ったことではありませんが、DoS攻撃は法に触れる行為であり、官憲の介入をまねく可能性もあります。相手のサーバーにはどこから攻撃を受けたかという記録も残りますし、よく知らずに攻撃の片棒をかついでしまうようなことがないよう、気をつけたいものです。「ちょっとふざけただけ」では済まないのですワン。

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/yougo/20080502nt07.htm