記事登録
2008年05月02日(金) 14時49分

18日に東京・調布で不発弾処理大作戦…1万6千人退去命令読売新聞

 東京都調布市で戦時中の大型不発弾が見つかり、市は18日(日曜日)に撤去作業を行うのに伴い、半径500メートルの住民約1万6000人に対し、退去命令を出すことを決めた。

 これに合わせ、京王電鉄が一部区間で5時間半にわたって運休。国道20号も封鎖される。当日は京王沿線の東京競馬場(府中市)で中央競馬会のG1級レースも開催され、行楽など首都の交通に大きな影響が出そうだ。

 調布市によると、不発弾が見つかったのは、同市国領町1の線路沿い。京王線地中化工事の現場で、地主から「戦時中、空から何かが落ちて、畑に穴ができたことがある」と聞いた京王電鉄が3月27日、金属探知機で調べたところ、3・25メートルの地中から見つかった。

 不発弾は長さ約1・8メートル、直径60センチの米国製1トン爆弾。B29が搭載し、調布近辺の軍需施設を爆撃に来た際、落としたとみられる。すぐに自衛隊が防護措置をとり、今は警備会社が24時間監視しているが、地上で爆発した場合には、破片などが半径2キロに飛び散ると推定されている。

 このため、長友貴樹市長は住民避難が欠かせないと判断。18日午前9時半から作業終了までの間、半径500メートルの約8000世帯・1万6000人に退去命令を出す。パチンコ店やスーパーにはその時間帯に営業しないよう求める。

 不発弾は信管が抜かれた後、トラックで運び出されるが、数時間を要するとみられている。

 避難勧告・指示より強い退去命令を選択したことについて、市は「住民を説得しやすいため」としている。

 不発弾処理では2007年3月、神戸市東灘区で住民約1万人に退去命令が出たが、今回はこれを上回る規模となる。

 現場周辺には住宅やマンションがひしめくほか、病院もあり、入院患者は一時近隣の病院に移される。手助けがないと外出できない要介護者も多数いるとみられ、調布市は1日から調査のため対象世帯の戸別訪問を始めた。「どういう手助けが必要かは人それぞれ。人海戦術が頼り」(市福祉健康部)という。

 作業の間は、現場近くの国道20号(甲州街道)が約2キロにわたって封鎖される。当日は市職員や消防団員が各所に立ち、車を迂回(うかい)路に誘導する。また、調布署は機動隊などの応援を頼む方針で、交通規制や空き巣警戒にあたる。

 京王電鉄は午前9時半から午後3時まで、つつじヶ丘−調布駅間を運休する。作業が終わり次第、運行を再開するが、同線飛田給駅が最寄りの「味の素スタジアム」で、サッカーJ1の東京ヴェルディ−清水戦(午後4時開始)があるほか、同線府中駅などに近い東京競馬場では午前中から競馬が開催され、春の4歳以上牝馬(ひんば)の頂点を決めるヴィクトリアマイル(午後3時40分出走)も予定されている。中央競馬会はホームページなどで、JR線・府中本町駅を使うよう呼びかけている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080502-00000038-yom-soci