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2008年05月02日(金) 23時01分

食べ残し、別の客に提供 船場吉兆、前社長が指示中国新聞

 食品偽装表示問題で経営が行き詰まり、民事再生手続き中の高級料亭船場吉兆(大阪市)が、休業前の昨年十一月ごろまで、同市中央区の本店で客が食べ残した料理を別の客に提供していたことが二日、分かった。

 引責辞任した湯木正徳ゆき・まさのり前社長(74)の指示で続いていたという。一連の問題で表面化した旧経営陣の利益優先体質があらためて浮き彫りになった形で、高級料亭としてのモラルが問われそうだ。

 大阪市保健所によると、こうした食品の再利用は、食材の品質が保たれ、食べても健康を損なう恐れがなければ食品衛生法に抵触しないという。

 同保健所は「飲食店として道義的な問題はある」として二日、同社に立ち入り調査し、今後は繰り返さないよう行政指導した。

 同社代理人の弁護士や保健所によると、本店では客がはしをつけなかったアユの塩焼きや天ぷら、ゴボウをウナギで包んだ「八幡巻き」などを回収。再び焼いたり揚げたりして再調理し、別の客に出していた。

 湯木前社長は調理場で従業員に「使えるものは何でも使う」と指示していた。弁護士は「今年一月の営業再開後は、このようなことはしていない」と話している。

 食品偽装をめぐっては九州産牛肉を但馬牛と偽って販売したなどとして、大阪府警が不正競争防止法違反(原産地の虚偽表示)の疑いで湯木前社長と長男の喜久郎きくお元取締役(45)らを書類送検する方向で、詰めの捜査を進めている。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200805020313.html