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2008年05月02日(金) 23時44分

「恥ずかしくて言えなかった」料理長が謝罪 船場吉兆醜態どこまで産経新聞

 「恥ずかしくて言えなかった…」
 一連の偽装表示事件で民事再生手続き中の船場吉兆(大阪市中央区)で、客の食べ残しを別の客に使い回していた問題が発覚した2日夜、同社本店の山中啓司料理長が沈痛な表情で深く頭を下げた。
 「一から再出発したい」と今年1月に本店の営業を再開したが、使い回しの事実は公表していなかった。不正との決別を誓ったはずの女将の湯木佐知子社長(71)は「不在」として姿を見せず。
 モラルを無視した老舗料亭の度重なる背信行為に、顧客らは「誇りはないのか」とあきれた。
 「できるだけ自分たちで食べたり、廃棄するようにしていたが、いつも(湯木正徳)前社長が調理場にいたため、指示に従うしかなった」
 本店前で取材に応じた山中料理長は「今後一切いたしません」と釈明したが、報道陣からは農水省に提出した改善報告書や記者会見などでも公表してこなかったことに批判が集中した。
 これまでも不正が明らかになるたび、取引業者や現場に責任を転嫁し、隠蔽を繰り返してきた船場吉兆。
 この日佐知子社長は「外出中」で、山中料理長は「私のかい性もなかったのかもしれない。お客さまに申し訳なく、恥ずかしくて言えなかった」とうなだれた。
 午後5時から通常通り開店したが、予約客は1組のみ。
 食事を終えた女性は報道陣の問いかけにも足早に車で立ち去った。
 使い回しの事実に、関西財界や顧客らからは厳しい意見が相次いだ。
 大阪商工会議所の小池俊二副会頭(サンリット産業社長)は「真実だとしたら許し難い」と語気を強め、「(一連の不祥事で)お客さまに対して、果たして本当の意味での社会的責任を認識していたか疑問。(再建に向け)経済界でも応援しようという声もあったのに残念」と話した。
 店の前を通りかかった兵庫県西宮市の会社社長(51)は「昔食べた料理も使い回しだったのか。論外でしょう」と怒りをあらわに。
 地元の商店主(64)は驚きのあまり絶句した後、「落ちるところまで落ちていたということか。もう、立ち直れないかもしれないな」と寂しそうにつぶやいた。

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