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2008年05月01日(木) 08時21分

「比内鶏」社元社長を聴取、逮捕へ 虚偽表示容疑朝日新聞

 秋田県大館市の鶏肉加工販売会社「比内鶏」=破産手続き中=が秋田特産の比内地鶏だと偽って商品を出荷していた問題で、県警は1日、詐欺と不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで藤原誠一元社長(77)の事情聴取を始めた。容疑が固まり次第逮捕する方針。

 この他、同社の元幹部数人の事情聴取もしており、逮捕する方針だ。

 調べでは、藤原元社長らは、卵を産まなくなった「廃鶏」をただ同然で仕入れ、それを1羽約2千円する比内地鶏を使っているかのように原料表示を偽った。同社の主力商品「比内地鶏くんせい」などを業者に販売し、1千万円以上をだまし取った疑い。

 県などによると、偽装商品は薫製をはじめ、「つみれ」「比内地鶏たまご」など16品目に及んだ。同社は大館市内だけでなく、全国に店舗を持つスーパーや百貨店、食品メーカーを取引先に持っており、06年10月からの1年間だけで偽装商品の売上額は、約1億5700万円にのぼるという。

 偽装は昨年10月の県の調査で発覚した。藤原元社長は同月の記者会見で、96年ごろから偽装を始め、「私が指示した」と会社ぐるみの偽装だったことを認めている。

 民間の信用調査機関などによると、全国的な地鶏ブームに乗って、同社の売り上げは96年度から10年間で約5割伸びた。この間、県全体の比内地鶏の出荷羽数も3倍を超える72万6千羽(06年度)と急増した。藤原元社長は記者会見で「地鶏ブームに乗ろうと思った」「商品を手広くしたかった。本物の比内地鶏を使っては価格が高すぎて売れない」とも述べていた。

 県警は07年11月に不正競争防止法違反容疑で同社や藤原元社長宅などを家宅捜索し、帳簿など関係書類を押収。県から情報提供を受けたほか、元同社社員や出荷先の小売店などから話を聞き、「廃鶏」の仕入れから出荷までのルートを大筋で解明した。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0501/TKY200805010018.html