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2008年05月01日(木) 19時06分

硫化水素だけはやめよう−硫化水素自殺問題ツカサネット新聞

最近、硫化水素を使った自殺が多発している。自殺方法を紹介するウェブサイトでは、用意する物と合成方法、他の自殺方法より楽に死ねるといったことや、周囲の人間を巻き添えにしないために部屋の外に注意書きの張り紙を出すべきといったことなどが紹介されている。そして、そのような自殺をマスコミが報道し、硫化水素を用いた自殺法が多くの人に知れ渡って、自殺志願者がその方法を選び、またそれが報道されるといった具合で、硫化水素を用いた自殺が急増している。

硫化水素自殺の最大の問題点は、自殺を図った本人だけでなく、周りの人にも危険を及ぼすとうことだ。助けに入った家族や消防士、近隣住民が硫化水素を吸って死亡したり重体となる事件が多発している。

本気で自殺しようとする人に対して、今さら私が「自殺はいけない」「命を大切に」などと言ったところでほとんど無意味だろう。だから、自殺そのものについてはここで問題にするつもりはない。

しかし、硫化水素やその他有毒気体を用いるなど、自分以外の多数の人間を危険にさらす方法だけはやめて欲しい。

硫化水素自殺の場合、毒ガスが発生しているので部屋に入らないようにとの張り紙が張られることがある。このような張り紙を張るということは、他人を巻き添えにしたくないという思いがあるからだろう。しかし、家族や消防士はそのような張り紙があったところで部屋の前で立ち尽くすわけにはいかないものだ。それに、部屋に入らなくても、ガスは部屋の外に漏れ、それによって数十人が病院送りとなったケースもある。

もし、あなたが硫化水素で自殺を図った場合、家族はどうなるか。もし自殺した部屋に家族が助けに入ってその人が硫化水素を吸えば、最悪の場合、その人も死亡するか、重い後遺症を負うことになる。近隣住民に被害が及べば、被害者は損害賠償を求めるだろう。もしあなたが未成年ならば、親に賠償責任が及ぶ可能性がある。

もし妻や子を持つ身であれば、あなたが所有する財産は損害賠償に当てられ、家族は無一文のまま路頭に迷うかもしれない。それだけではない。家族に法的な賠償責任が及ばなかったとしても、その家族は道義的責任を感じ、家を売ってでも賠償に応じさる得ない状況に追い込まれるかもしれない。

一人で死ぬだけの自殺ならば、家族はあなたの死の悲しみだけを負う。しかし、他人に迷惑をかける死に方ならば、家族はより大きな悲しみと莫大な金銭的負担を負わせることになるだろう。

家族や社会に恨みでも持っている人に対しては、この話は全く通用しないだろう。しかし、そうでなければ、部屋の前に張り紙を出すくらいの配慮の気持ちがあれば、硫化水素だけは使わないで欲しい。

そして、自殺以外の解決方法もあることを知っておいてください。ここや、他にもいろいろな団体が相談に乗ってくれます。死ぬのはその後でも遅くはないでしょう。



■日本いのちの電話連盟
0120−784−556

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(記者:松岡智之)

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