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2008年04月30日(水) 18時53分

地元に巨大刑務所がやってくる!? 昭島市長が住民不在の受け入れ表明MyNewsJapan

 もしも自分の住む近所に刑務所が誘致されたら、どうしたらよいか。

 東京都の立川市と昭島市にまたがる国営昭和記念公園に隣接する米軍立川基地跡地(約76ha)。その利用法を協議するために東京都と立川市、昭島市の3者で「立川基地跡地昭島地区土地利用連絡協議会」を設置したが、2002年6月に突然、国は「原則留保」から「原則利用」に方針を転換し、「おおむね5年以内」という期限の中で実現性のある利用計画を立てるよう連絡協議会に求めた。

 そして2007年9月になって法務局は、2008年6月の期限を待たずに、都内に点在する刑務所施設を集合させた「国際法務総合センター」を立川基地跡地に建設したいと発表したのだ。

 地元住民は約2万7千人の反対署名を集めたが、昭島市の北川穰一市長は何の意思表示もしないまま、今年2月に突然受け入れを表明した。

 立川市で建設設計事務所を営む堀岡勝さん(38歳)は、その経緯と独自調査の結果を「*堀 岡 建 築 研 究 所 *」http://pub.ne.jp/horiokam/ というブログで発信してきた。

 「設計者という立場の興味本位から、基地跡地について都市計画として面白い提案ができないかと考えていましたが、国際法務総合センターの計画を新聞で読んで驚きました」

 老朽化した医療刑務所や関連施設の建て替えは必要であり、それに反対するのは地域エゴではないか、という問いに対して、堀岡さんは、今回の決定が民主的な手続きを経ていない点を特に問題視している。

 「そもそも昭島市には、現市長が2000年に作成した『昭島市都市計画マスタープラン』があり、その冒頭には、『従来にも増して、市民の意見・要望の把握や情報の積極的な提供に努め、市民一人ひとりがまちづくりに参加できるよう、その機会の拡充を図ってきます』と記されています。

 ところが現実には、市民への情報提供を怠り、市民からの意見も求めず、市長が勝手に受け入れのコメントを出してしまう。これではまるで独裁者です」

 堀岡さんがもう1つ不審に思う点がある。都が2004年度から2006年度にかけてUR(都市再生機構)に委託した跡地利用に関する調査結果が、2年目までは民間でベローパーによる住宅開発が有力だったのに、3年目になって突然、住宅地という言葉が一切消え、(新たな検討条件)と銘打ち、公的土地利用に関する可能性を前面に出してきたことだ。

 この時点で国際法務総合センターをつくる計画が持ち上がり、そのために「公的施設ありきの報告内容」になったのではないか、というのが堀岡さんの見解だ。

 12月に開催された説明会に参加した堀岡さんは、終了後に残った昭島市の住民たちと初めて交流を持ち、情報交換を行う中で、3月にはこの問題について今後取り組んでいくことになる市民グループ「昭島まちづくりフォーラム」の活動母体が発足した。

 フォーラムのメンバーは3月中旬から会合を重ね、法務省の案に対抗する独自の基地跡地利用計画案を作成した。環境と健康を軸に、環境先進国であるドイツの都市を先例とした、最先端技術も取り入れた未来型のエコシティーを構想している。

 「4月中には、市長、副市長、石川課長など昭島市関係数名と立川市長、東京都知事宛に提出する予定です。

 まずは昭島市長に、施設の受け入れ表明を保留してもらいたい。

 保留にして話し合う際には、さまざまな環境団体とか、今回のような問題をテーマにしている大学の研究室などとコンタクトをとり、話し合いの場に参加してもらい、前向きにエコシティーについて取り組んでいきたいと考えています」


(伊勢一郎)


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