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2008年04月30日(水) 00時00分

高松で硫化水素自殺読売新聞

避難2時間周辺騒然
硫化水素ガスが検知され、住民が一時避難する騒ぎとなったマンション(左)(29日午前11時32分、高松市藤塚町で)

 高松市藤塚町のマンションで29日、大学生の男性(20)が硫化水素ガスで自殺した影響で、マンションの住人や付近の住民ら約40人が2時間以上も避難する騒ぎとなった。被害に遭った人はおらず、住民らは「被害が広がらずにすんで良かった」と胸をなで下ろしたが、全国で硫化水素自殺が相次ぐ中、無関係な住民があわや巻き添えとなる事態に、怒りをあらわにする人もいた。

 現場はJR高松駅の南西約2キロの住宅街にあるマンション。消防隊員らが頻繁にマンションを出入りし、部屋にいた住民らは消防車両に逃げ込んだり、少し離れた場所から遠巻きに眺めたりと、楽しいはずの祝日は一転、騒然とした雰囲気に包まれた。

 県警の発表によると、28日午後8時ごろ、男性の隣室に住む女子大学生(20)が異臭がしているのに気付き、同じマンションに住む大家に連絡。29日朝、四国ガスの社員が男性の部屋に入ると、玄関ドアを開けて正面の壁に「硫化水素発生中」「中には入らないで」と書かれた2枚の張り紙があり、硫黄のにおいが漂っていた。男性が見つかったトイレの扉は内部から粘着テープで目張りがされていた。

 現場には、化学機動車など7台とレスキュー隊員ら約20人が到着。空気ボンベを背負って中に入り、倒れている男性を見つけ、空気中に1ppmの硫化水素を検知したため、住民に避難するよう促した。高松北署員も付近を回り、窓を閉めて外出しないよう呼びかけた。

 マンションの2階に住む男子大学生(20)は「寝ていたら消防士に知らされ、慌てて避難した。硫化水素ガスが室外に漏れれば自分の命も危なかった」と青ざめていた。近くの女性(66)は「親から授かった大切な命を自ら絶つなんて信じられない。多くの人が住んでいる所で硫化水素ガスを発生させるなんて迷惑だ」と憤った。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news/20080429-OYT8T00657.htm