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2008年04月30日(水) 16時50分

ガソリン値上げ見越し、駆け込み客殺到 紀南各地(和歌山)紀伊民報

 道路特定財源の暫定税率が復活することを見越して30日、紀南各地のガソリンスタンドでは給油する車で混雑した。「値上げする前に入れておかないと」と消費者。給油所では、殺到する客で在庫がなくなった店もあり「振り回されてばかり。値上げ後は客が減る」との嘆きが聞かれた。
 レギュラーガソリン1リットル当たり25・1円の暫定税率を復活させる税制改正法案が30日午後、衆院で再可決される見通し。石油元売り各社は5月1日から原油高騰による値上げも加えて小売価格を1リットル当たり30円ほど引き上げるとしており、全国平均で過去最高の160円を突破する見込み。
 田辺市芳養松原にある24時間営業の給油所では29日午前から込み合い始め、30日午前2時ごろ在庫が切れた。午前8時に卸売業者のタンクローリーが入るまで、一時閉店した。在庫が切れたのは今月に入り2回目という。
 給油待ちの車は道路にも並び、多い時には30〜40メートルの列ができた。店員は「混雑は夜まで続くだろう。また在庫が切れるのではないか」と心配する。この店では、1日から小売価格を30円ほど引き上げる見通しという。
 田辺市新庄町のセルフスタンドでは、28日から駆け込み給油が始まり、普段の2倍の客数になっている。30日午前も6つある給油レーンがすべて埋まっている状態。
 田辺市稲成町のガソリンスタンドでは、29日の来店者はいつもと比べて5割以上多かった。原油高騰で仕入れ価格が上がるため、再可決後は32円の値上げを検討しているという。経営者(74)は「店頭価格を上げても、利益が増えるわけではない。資金繰りが大変になる上、車の利用を控える人も多くなる。振り回されるばかりだ」と話した。
 30日午前、各地の給油所では、値上げ前に少しでも給油したいという客が詰め掛けた。
 白浜町富田の50代主婦は「ガソリンはあまり減っていなかったけれど、家計に響くから満タンにしたかった」、田辺市秋津町の30代主婦は「子どもの送迎などで車をよく使うので、値上げは大きな負担になる」と、家計への影響を心配する。
 夜勤明けに訪れた田辺市内の30代女性は「1日から30円近く上がると思うから、その前に給油しておこうと考えた。給料は上がらないのでやりくりが大変」と嘆いた。
 同市むつみ、会社員男性(66)は「暫定税率の期限切れで1カ月間得をしたとも考えられるが、本音はこのままの方がありがたい」と話し、同市稲成町の農業男性(43)は「農繁期にはガソリンをよく使う。消費者もガソリンスタンドも混迷しているので、制度をはっきりさせてもらいたい」と怒りを見せた。

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