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2008年04月30日(水) 12時01分

ガソリン:暫定税率、あす復活見通し 値上げ前、満タンに GSに長い列 /栃木毎日新聞

 ◇在庫切れの恐れ
 揮発油(ガソリン)税などの暫定税率を復活させる租税特別措置法改正案が30日、衆院で再可決され、ガソリンにかかる暫定税率(1リットル当たり25・1円)が5月1日から復活する見通しとなった。各地のガソリンスタンド(GS)では、安いガソリンを求めてドライバーが殺到し、長い行列をつくった。危険を冒して買いだめに走る消費者が出てくる可能性もあり、消防などが冷静な行動を取るよう呼び掛けている。【松谷譲二、戸上文恵】
 ◇「損するのは小売店」−−30円程度上げる店も
 宇都宮市南部、北関東自動車道の宇都宮上三川インターチェンジ付近は、石油元売り大手系列のガソリンスタンドがひしめく。暫定税率が失効した今月1日から、レギュラー1リットル当たり120円程度での販売が多く、給油の順番待ちの行列が各所で発生した。
 国道新4号沿いのセルフ式スタンドでは、ゴールデンウイークが始まった26日から、客数が通常の1・5倍に伸びたという。駆け込み需要に備え注文量を増やしたが、店長(56)は「在庫切れになるかも。振り回されて損をするのは小売店。政府はいいかげんにしてほしい」と批判する。
 ◇「1日から上げる」
 ガソリン税は製油所からの出荷時点で課税される「蔵出し税」。近くの別のGSでは今月1日から、暫定税率分(1リットル当たり25・1円)が上乗せされた在庫約35キロリットルも赤字覚悟で値下げした。店長(52)は「前回損しているから、(5月)1日から上げようと思っている」。暫定税率分と原油高騰による調達コストの増加分を含め、1リットル当たり30円程度値上げする見通し。
 一方、消費者には生活防衛意識が強い。「値上がりする前に満タンにしに来た」という壬生町の無職、小野隆昇さん(65)は「年金は下がったのに、国民健康保険料は上がっている。ガソリンは安い方が助かるよ」。
 県内に本社のあるホームセンターでは、金属缶の売れ行きがこの1カ月間で、昨年の同時期に比べると1・5倍に伸びた。
 5リットル、10リットル、20リットルの3種あり、値段は20リットル缶で3000円ほど。暫定税率の復活を見越し、安いガソリンを買いだめして保管する目的で購入しているケースもあるとみられるが、商品担当者は「ガソリン1リットル当たりの値上げ分(約20〜30円)を考えると、缶の方が高いので割に合わない。この時期は毎年、レジャーや農作業用などで缶の需要が増える」としている。
 ◇安易な保管控えて
 ガソリンは灯油ポリタンクなどではなく、専用の金属缶を使用しなければならない。40リットルを超える場合は、消防機関への届け出がないと消防法に基づく政令に抵触する。宇都宮市消防本部などは「家庭での安易な保管は控えて」と呼び掛けている。

4月30日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080430-00000009-mailo-l09