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2008年04月30日(水) 11時11分

ガソリン税復活で予想される混雑要因オーマイニュース

 4月26日土曜、知人の運転する車に同席した時のことだ。

 「ガソリンないから、ちょっと寄るね」

 国道側に向けられた看板には、「118円」「セルフ式」という2つが強調されている。知人が行きつけのガソリンスタンドの1つだ。

 「ガソリン税の暫定税率、5月1日復活の可能性」という報道を聞いていたので、もしかしたら大混雑しているのでは? と気になりながらスタンドに入ってみる。

 前に待機していたのは1台だけだったが、しばらく待っても前の車が動く気配がない。「なぜだろう?」と奥を見てみた(図を参照、この時点で筆者は左下のオレンジ)。

 よく見てみると、さっきから国道に近い・入口手前側の車(水色に相当)が、給油機の前で説明書きを何度も読み返している様子だった。おそらく、ここのガソリンスタンドに来たのは初めてなのだろう。結局その車は給油しないまま出口へ向かう。知人はこう言った。

 「あの車、ここのセルフがお釣り出ないって知らなかったんだよ」

 ここのセルフ式ガソリンスタンドは、支払方式がプリペイドのみとなっているのだ。したがって、通りすがりで「この店安い」と思って入り、プリペイドを購入してしまうと、満タンに入れた額が千円単位で半端がない限り、お釣りを受け取ることが出来ないのである。

 その後、給油を済ませた我々はスタンドを出ようと思ったのだが(白色の位置)、前の車(紺色)がまだ給油していた。右から出ようかと思いきや、隣のレーンに次の車が入ってくる(桃色)。結果、前の車が給油を終えるまで身動きが取れなくなってしまった。

目の前の四苦八苦、セルフ方式のスタンドが抱える悩み

 前の様子をうかがった。初めての挑戦なのか、年配の夫婦2人がかりで給油作業に取り掛かっていた。ご婦人がプリペイドを投入し、ご主人が給油するという分担だが、給油レバーが反応していないようだった。

 「多分、プリペイドを投入する前に給油ノズルを外してるから、反応してないんだろう」

 セルフ方式でなければ、「満タンで」と言えば後払いだし、金額分であれば事実上前払いだ。しかしセルフは、前払い・後払いの2種類があり、その手続きも大きく異なる。金銭が絡むために作業手順が厳格になっている。混乱することも多いだろう。

 すぐに助言することも考えたが、それだとまた方式のところでトラブルに陥るかもしれないと思い、結局私たちは、彼らが給油手順を読み直している姿を静かに見守ることにした。

 それからガソリンスタンドを出て、知人にいくつか気になったことを質問してみた。

 「セルフって、店員いないの?」

 「最低1人はいる。あの店は、普通は1人か2人かな」

 「なんで不慣れな人に説明しないの? 自分も原付に乗ってた時にセルフ使ってたけど、店員は外に1人出てたよ」

 「呼び出しボタンを押したら出てくるよ」

 店員が誘導したり、不慣れな人を案内すれば、お客さんの利用回転率が上がるのでは? と私は思った。けれども店員1人が担当する場合、トイレや食事に気を取られることもあるだろうし、ガソリンの追加手配もする必要があろう。そのため、常時気を配ることが出来る訳ではないというのも理解できる。

 他にも、プリペイド専用としているのは、バーコードなどを扱う機械を導入する費用やお釣りを補充する手間を省くと共に、客の囲い込みの一環であると考えられるし、今回のスタンドは給油機レーン間が車幅がぎりぎりしかないために横に移動できなかったが、それも店舗敷地面積を効率的に利用するための策なのだろう。

 これらによってコストを限界まで削った結果こそ、ガソリンの値段に反映されているのではないだろうか——。と考えれば、ある程度の不便さを感じても仕方がない面もある。

 そんな中でお互いにストレスを感じることなくガソリンスタンドを利用するためには、セルフ方式にまだ慣れていない人は、ガソリン税復活前で店同士の価格差があまりない今のうちに、様々なセルフ方式で練習しておく必要があろう。

 そして店側も、赤字覚悟の血の滲む思いでガソリン価格を下げていることを無駄にしないためにも、道路側に表示した安い価格に釣られてやって来た新規のお客さんが初めてセルフ式を利用した時に困らないよう、フォロー出来る態勢を万全なかたちで整えることで、この大変な時期を新たなチャンスとして乗り切って欲しいと願っている。

(記者:○×)

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