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2008年04月29日(火) 00時00分

お手軽、今どきバーベキュー読売新聞


手軽なケータリングのバーベキューで、会話もはずむ(東京都江戸川区の大島小松川公園のバーベキュー広場で)
準備不要 手ぶらで楽しめる会場も

 青空の下、バーベキューを楽しみたい季節がやってきた。最近は、準備も片づけもいらないケータリングや、手ぶらで行けるバーベキュー場に人気が集まっている。バーベキューのトレンドは「手軽さ」のようだ。

 広い空が気持ちいい東京都立大島小松川公園(江東、江戸川区)。バーベキュー広場では週末、家族連れや若者などでにぎわう。バーベキューを楽しむ人たちの中で最近目につくのが、器具や食材などを用意せずに集まってくる人たちだ。準備や片づけの必要がないケータリングを利用している。

 26日に行われた、ある会社の新入社員歓迎会でも、社員やその家族40人が手ぶらで集まった。幹事の男性(26)は「バーベキューは仲間の親睦(しんぼく)を図るのに最適。でも、器具や食材をあちこちからそろえていると時間と労力がかかる。ケータリングなら、純粋に楽しめる」と話す。

 東京近郊でバーベキューのケータリングを手がける「ケータリングサービスおり原」(東京都品川区)では20人以上のグループを対象に、調理器具や食材を指定場所へ届けている。ケータリングは、15年前から行っているが、ここ数年で需要が高まっているという。食べた後の片づけやゴミ処理も行うコース(30人、10万円)が人気だ。予約は既に10月まで入っている。

 昨年9月に開業したバーベキューのケータリング「バーベキューパーク」(同江戸川区)は、手持ちの調理器具や人数に応じて、細かく器具や食材を注文できる。5000円以上の注文から受け付け、都内東部を中心に配達する。

 都立葛西臨海公園(同)や国営昭和記念公園(東京都昭島、立川市)は、器具の貸し出しや食材の販売もあり、手ぶらで行けると人気だ。器具と食材のセットは一人2000円から(4人以上)。2か月前から予約できる。

 バーベキュー人気は高まっているようだ。例えば、昭和記念公園は1200人を収容できる大型バーベキュー場があることで知られるが、07年度の利用者は12万8000人で、04年度の7万7000人を大きく上回った。

 手軽なバーベキューが盛況な理由について、日本バーベキュー協会(兵庫県宝塚市)会長の下城(しもじょう)民夫さんは「一部の愛好者が行っていたバーベキューが一般化したことが大きい。不慣れで、準備の手間はかけたくないが、バーベキューは楽しみたいという人が増えたのでしょう」と話している。

火力は炭の配置次第

 炭火の上に金網を置く直火焼きで、おいしく肉を焼くコツを下城さんに聞いた。

 肉の種類によって炭の置き方を変えれば、火加減の調整ができるという。

 牛肉は、炭を2段に積む強火と、1段の中火、全く敷かない保温の3ゾーンに分けて焼く。手のひらほどの分厚いステーキ肉は、まず強火で表面に網目を付け、肉のうま味を閉じこめる。中火で火を通せば、外は香ばしく中はジューシーな仕上がりだ。

 豚肉と鶏肉は炭を両サイドに寄せ、グリル中央に炭を敷かない弱火ゾーンを作り、そこで焼く。日本バーベキュー協会のホームページ(http://www.jbbqa.org)も参考になる。

興奮&癒やし効果

 どうして人はバーベキューで心躍るのだろうか? 諏訪東京理科大教授の篠原菊紀さん(脳科学)は、野外で家族とバーベキューを食べた人と、屋内で一人で弁当を食べた人の食前食後の血液を比較。バーベキューを食べた後の脳では、神経を安定させる神経伝達物質セロトニンと、興奮や快感をもたらすドーパミンの両方の分泌が活性化される——との研究結果が出た。

 「人はバーベキューでワクワクすると同時に、心が癒やされ、幸せを感じることができる」と解説する。

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20080429gr01.htm