記事登録
2008年04月29日(火) 22時01分

<図書館戦争>「焚書」と戦う熱血ヒロインの恋は? 70万部小説をフジ人気アニメ枠で毎日新聞

 「ハチミツとクローバー」や「もやしもん」などヒットが相次いでいるフジテレビ系の深夜アニメ枠「ノイタミナ」の新作は、異色のSF小説が原作の「図書館戦争」だ。

【関連】 製作委員会に質問状:「図書館戦争」 個性的なキャラによる連ドラ風のアニメに

 舞台は、言論や出版の自由を制限する「メディア良化法」が施行された2019年の日本。政府の「良化委員会」は、実力で書物を葬り去る「焚書(ふんしょ)」を強行、時には激しい戦闘のさなかに図書館員が命を落とすことも少なくなかった。こうした事態に立ち上がった図書館員たちは独自の防衛組織「図書隊」を結成し、本を守る戦いを始めるが、政府との衝突はもはや戦争に近い状態だった。

 ヒロイン笠原郁は、高校時代に助けられた図書隊員にあこがれ、念願の図書隊に入隊。すらりと伸びた身長、女性とは思えぬ運動神経と「熱血バカ」の異名を取る情熱が買われ、精鋭部隊の「図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)」に配属される。しかし、待っていたのは鬼教官の堂上篤。郁は厳しい指導に反発するが、堂上こそ高校生の時に危機を救ってくれた図書隊員だった。こうして、郁の“戦争”と恋が始まろうとしていた。

 原作は、怪獣と自衛隊の攻防を描いたSF作品「空の中」「海の底」や、自衛隊員の恋愛をコミカルに描いた短編集「クジラの彼」などの作品で知られる有川浩さん。この3作で有川さんは、純粋でストイックな人たちを描こうと考え自衛隊を取り上げた。「図書館戦争」はそんな有川作品の魅力のすべてが詰まった作品だ。図書館員たちが「本を守る」という使命の下に武装して防衛隊を組織する発想はユニークであり、郁と堂上を中心とする防衛隊の人間関係も魅力の一つ。さらに、極限状況ならではのスリリングな恋愛もある。原作は05年の「本屋大賞」にノミネートされたほか、06年には専門誌「本の雑誌」の上半期エンターテインメント小説部門で1位を獲得し、シリーズ4作で累計70万部を発行する人気作となった。

 アニメ化を手がけるのは「攻殻機動隊」シリーズなどでおなじみのプロダクションIGだ。郁が図書特殊部隊に配属される場面からストーリーが始まる。「テレビドラマのようにアニメーションを楽しむ」というコンセプトを進める「ノイタミナ」枠らしく、女性の視聴者を意識し、書籍をめぐる激しい戦争という一種の極限状況に置かれた郁の恋愛と成長を描こうとする狙いが見える。有川さんは「『図書館戦争』はラブコメです」と話す。

 原作では登場人物のイラストがないため、キャラクターデザインは原作の表紙イラストや挿絵を手がけた徒花スクモさんがアニメ化以前から描いていた未公開のキャラクター設定図を基にプロダクションIGがデザイン。放送開始と同時期に白泉社とアスキー・メディアワークスからそれぞれ刊行された2作のマンガ版も参考に、アニメ用に新たに生み出した。有川さんは設定画を見た際、「ここに郁がいる」と叫んでしまったほど、イメージ通りのデザインになった。声優陣は郁役に「天元突破グレンラガン」のヨーコ役でも人気上昇中の井上麻里奈さん。堂上役には新鋭の前野智昭さんとフレッシュな顔ぶれとなっている。

 第3話までの滑り出しは上々。郁と堂上の恋の行方が気になるところだが、郁と同期のきまじめな図書隊員の手塚や、郁の友人・柴崎も絡む。一筋縄では行かない展開が楽しみだ。

 フジテレビ系で毎週木曜日深夜0時45分から放送中

【関連記事】 図書館戦争:人気メガネ店のゾフとタイアップ 「メガネ美人」キャラが新作着用
【関連記事】 ベースボールベアー:「図書館戦争」エンディングに起用 「おお振り」主題歌でブレーク 
【関連記事】 特集:春の新作アニメ(その1) 復活「コードギアス」に初登場「ゴルゴ13」 注目作一挙紹介
【関連記事】 墓場鬼太郎:「のだめ」抜き、視聴率シリーズ最高記録を達成 ノイタミナ枠で
【関連記事】 特集:「墓場鬼太郎」40年目の原点アニメ化(1)“悪の鬼太郎”誕生の裏側

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080429-00000016-maiall-ent