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2008年04月29日(火) 00時00分

硫化水素ガス自殺、県内でも今年4人読売新聞

 硫化水素ガスによる自殺が全国で相次ぐなか、県内でも今年に入り、硫化水素によって計4人が自殺していたことがわかった。家族や付近住民への二次被害の可能性があることから、注意喚起の必要が指摘されているが、「大々的に注意を呼びかけると自殺の助長につながる可能性もある」として、県警や消防本部は対応に苦慮している。(角亮太)

 県警や各消防本部の発表によると、自殺したのは、いずれも30〜50歳代の男性4人で、鹿児島、霧島(2件)、西之表の3市で発生。自殺を図った場所は、自宅マンションの浴室が1件、自動車内が3件だった。

 いずれも、マンションのドアや自動車の窓に「毒ガス発生中。危険」などとした張り紙がしてあった。硫化水素は腐った卵のようなにおいがして、高濃度の場合は吸い込むと死に至る危険がある。4件は二次被害はなかったが、駆けつけた県警の捜査員がガスを吸い込んで気分が悪くなったケースもあったという。

 県警は28日、各警察署に、通報があった場合、現場に駆けつけた捜査員の安全管理を徹底するよう指示。県も同日、各消防局へ硫化水素ガスへの対策方法や、刺激臭があった場合の防毒マスク着用などの指示を出した。

 一方、住民に対する周知に対しては慎重で、県警や各消防本部は「詳しい説明は逆効果になる可能性があり、予防は難しい」と話す。霧島市消防局では、住民へスムーズな避難誘導ができるよう訓練を検討したり、管内の薬局へ、不審な客へ薬品を販売しないよう、協力を求めていくという。

 県消防保安課では「刺激臭など、硫化水素ガスの可能性があれば、すぐに現場を離れ、警察署や消防署に通報してほしい」と注意を呼びかけている。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20080429-OYT8T00117.htm