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2008年04月29日(火) 19時15分

<課税自主権>地方分権推進委が本格検討へ毎日新聞

 政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は、09年度からの道路特定財源の一般財源化をにらみ、地方自治体が条例で独自に課税する「課税自主権」の活用について、5月から本格的な検討に入る。推進委が目指す「国道の維持・管理権の地方への移譲」が実現しても、国からの予算配分がなくなれば、財源不足に陥って実効性がなくなるためだ。推進委は、政府・与党の一般財源化の議論を踏まえ、今後の勧告で課税自主権について一定の結論を打ち出す。

 道路特定財源が一般財源化されると、(1)地方道路譲与税など3譲与税(2)揮発油税からの地方道路整備臨時交付金(3)国の道路特定財源からの補助金−−の計約2兆円が宙に浮く。総務省内には福田康夫首相が「地方に迷惑をかけない」と言っていることから、一般財源化後も相当額が地方に配分されるとの期待感もあるが、方針は決まっていない。

 そこで推進委が着目したのは、自治体の課税自主権。地方税法は、同法に定めのない「法定外税」と、都道府県民税などの税率を上乗せする「超過課税」を条例で設けることを認めており、法定外税は45自治体(08年1月時点)、超過課税は全47都道府県(07年4月時点)が導入している。

 ただ、神奈川県が県内に事業所のある資本金5億円以上の企業に独自にかけている「臨時特例企業税」に対しては、横浜地裁が3月、違法との判決を出した(県は控訴中)。石原慎太郎東京都知事は今月、道路特定財源の暫定税率の失効分を補う法定外税の創設に言及したが、直後に事実上撤回した。推進委が勧告しても、当事者から反発を招きやすい新税を自治体が導入するにはハードルは高い。

【石川貴教】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080429-00000041-mai-pol