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2008年04月28日(月) 03時02分

松下と三洋が提携案、将来の経営統合も読売新聞

 経営不振が長引いている三洋電機の抜本的な再建策として、松下電器産業と資本・業務提携する案が浮上していることが、27日明らかになった。

 大株主である三井住友銀行など金融3社が持つ三洋株(優先株)を松下に譲渡する方向で検討が進む見通し。三洋の高い技術力を生かし、充電池などの分野で世界市場をリードする狙いもある。将来、両社が経営統合する案も視野に入っており、実現すれば、国内初の大手電機メーカー同士の再編となる。

 三洋は2006年3月、財務体質を強化するため3000億円の優先株を発行し、米大手証券ゴールドマン・サックス(GS)グループ、大和証券SMBCと三井住友銀行の金融3社が引き受けた。普通株に換算して発行済み株式の66・97%(議決権ベース)を占める。

 関係者によると、金融3社は、三洋が単独で再建を果たすには時間がかかるとみて、三洋の事業と相乗効果があり、経営体力のある大手企業を対象に売却先を模索してきた。

 松下が浮上したのは、2010年3月期に連結売上高10兆円を目指す計画に向け、豊富な手持ち資金を生かして企業買収を検討していることがある。三洋は今後の成長分野とされる充電池や太陽光発電、リチウムイオン電池などで世界トップクラスの技術力を持ち、世界に販売網を持つ松下と補完効果が見込めるほか、08年3月期に4期ぶりの黒字となる見通しで、売却に向けた環境も整ってきた。

 優先株についている譲渡制限などの条件は09年3月に切れるため、交渉はこの時期をにらんで進められると見られる。

 両社が経営統合すれば、連結売上高(07年3月期)は計約11兆3000億円となり、日立製作所(約10兆円)を抜いて国内電機メーカー首位に躍り出る。

 ただ、三洋は冷蔵庫などの白物家電や半導体で苦戦し、松下と重複する生産・販売拠点も多い。このため、松下側には慎重論も根強いと見られ、交渉には時間がかかる可能性もある。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080427-OYT1T00715.htm