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2008年04月28日(月) 18時04分

「議論の材料必要」映画『靖国』一般向け試写会が開催オーマイニュース

 ドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』の上映を自粛する映画館が相次ぐ中、毎日新聞社と日本ペンクラブは「議論の材料が必要」として、27日に一般向け試写会を共同開催した。映画配給・宣伝会社のアルゴ・ピクチャーズが協力した。

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 会場となった東京・千代田区の毎日新聞東京本社「毎日ホール」には約80名が来場。18日付の同紙朝刊で来場者を募り、約600人の応募の中から抽選した。

 入場前は報道陣を含めた荷物検査を行い、ペットボトルなどの持ち込みは一切禁止された。上映会場には民間警備員を配備するなどの警備が敷かれた。会場の様子など、写真記事はこちら。

■「発表されてしかるべき作品」と、作家の阿刀田氏

 作家の阿刀田高・日本ペンクラブ会長は上映前のあいさつで、

 「政治的あるいは暴力的な圧力を懸念して、当然発表されてしかるべき作品が制限されている。映画館だけに『もっと勇気を持て』と言うのでなく、表現の自由を守るために抵抗・支援することが大切」

と指摘した。また、

 「8月15日に靖国神社で国旗を持って集まるのは(第2次世界大戦を)『侵略戦争ではなく、日本の正義であった』と信じる“かなり一部の方々”だが、これが海外で上映されれば『日本にはこういう考えの人がまだまだたくさんいるんだ』と印象づけるだろう。つらいことだが、それもまた現実である」

とも。

■「先走りして空気を読んでしまった」と、高橋東大教授

 ゲストスピーカーの高橋哲哉・東京大大学院教授は

 「『靖国』をめぐって大きかったのは、上映中止という一種の自己規制。この社会はまだまだ、先走りして“空気を読んで”しまい、自分の自由を自ら返上している」

 「『靖国』は政治的宣伝意図をおさえており、淡々と靖国にかかわる、さまざまな人々の動きを映している。それをどう見るかについての判断は、見る者に相当部分ゆだねている。冒頭30分程度は、靖国神社が作った映画だと思って見ていても、違和感がないほど」

と、同作品を評価した。

 同作品の李纓(リ・イン)監督は「この映画は靖国の『精神世界』に対してのひとつの問いかけ。上映に向けての支援の声に感謝している」とビデオメッセージを寄せた。

(記者:山本 宏樹)

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