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2008年04月27日(日) 00時00分

平和の尊さ訴える「被爆ピアノ」、演奏会の共演者募る朝日新聞

 広島で被爆し、3年前に修復されたピアノの演奏会が7月、大阪市天王寺区の四天王寺で開かれる。被爆ピアノにささげる曲を作ったピアニスト山田紗耶加さん(51)=大阪府豊能町=が演奏する。同寺は「ピアノを通じて平和の尊さを知ってほしい」とし、共演者を募集している。

被爆ピアノ(右隅の写真)を題材にした「綿のぼうし」の譜面を見るピアニスト山田紗耶加さん=大阪府豊能町、藤田さつき撮影

 ピアノは広島市中区の民家で被爆し、爆風で表面に無数のガラス片が突き刺さった。当時17歳の所有者の女性(80)が保管していたが、05年に調律師矢川光則さん(55)に託されて修復された。山田さんはラジオで被爆ピアノのコンサートが開かれることを知り、矢川さんを訪問。表面や鍵盤に生々しく残る傷跡を見て涙が出た。

 広島の人たちはこんなひどい目に遭わされたのか——。山田さんは被爆の悲惨さを思い知らされ、犠牲者の叫びや所有者の女性の思い出などを込めた「綿のぼうし」を作曲。翌06年から被爆ピアノとともに各地の学校などを回り、平和を訴える演奏を続けている。会場では、亡くなる直前に水を求めた人の思いをかなえることができなったことを悔やみ続ける被爆者の女性にも出会った。

 山田さんは「被爆の『生き証人』のピアノの音を聴き、平和の大切さを考えるきっかけにしてほしい」と話す。

 同寺は新進演奏家のコンサートなどを01年から月1回開いており、今回の被爆ピアノ演奏会は80回記念。開演は7月19日午後7時で、被爆ピアノを題材にした物語の朗読もある。

 募集する共演者は約10人の予定で、山田さんと一緒に4分程度ずつ被爆ピアノを弾く。「平和についての意見」を400字以内にまとめて郵送。あて先は〒543・0051 大阪市天王寺区四天王寺1の11の18。締め切りは30日。問い合わせは同寺(06・6771・0066)へ。(藤田さつき)

http://www.asahi.com/kansai/kouiki/OSK200804260133.html