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2008年04月27日(日) 16時11分

ごめんね……エビフライで知った息子の気持ちオーマイニュース

 4月25日は、3番目の息子の遠足だった。息子にとっては小学校最後の遠足でもあり、私にとっては、遠足のお弁当を作るのも今日が最後だろう。

 思い返せば、長い年月だった。15年間、毎年この時期にお弁当を作ってきた。今までは、3個だったり、2個だったり。昨年は1個だったが、私の体調が悪く、娘に作ってもらった。

■エビフライ

 昨日、スーパーに行くと、有頭エビが安く売られていた。「そうだ、末の息子はエビが大好きだから、最後の遠足のお弁当ぐらいエビフライを作ってやろう!」。そう思った私は、2匹購入。下ごしらえをして冷蔵庫に入れていた。

 そして当日の朝。お弁当を作ろうとエビを冷蔵庫から出し、末の息子に、「今日はすごいよ、エビフライだよ!」

 そのときだった。

 「はぁぁー」

 大きなため息が聞こえた。3つ上の中学3年生の息子だった。

 「おれのときは一度もなかったやん」

 瞬時に昨夜のことを思い出した。中3の息子が塾から帰ってきて冷蔵庫を開けたとき、「エビあるじゃん」とうれしそうに言っていたのだ。

 おれのときは一度もなかったやんーー。私は、息子がまさかそんなことを思っているとは思わなかった。思わず、「そうやったね。今まで忙しかったもんね。お弁当にエビフライとかゆっくり作っておれんかったもんね」と、言い訳をしてしまった。

■ごめんね

 「昨日ここにおいとった、鍵どうしたと!?」 中3の息子が2階から怒鳴っている。「ここにおいとったろうが! どっかやったろ」。あがっていくと、ものの陰に隠れていた鍵はすぐに見つかった。そして、そのまま何も言わずに、学校に行ってしまった。

 そのとき、私は息子の気持ちに気付いた。ああ、そんなにお弁当をもっとおいしくしてほしかったのか。今日まで私は気付かなかった。

 息子はお弁当に文句を言ったことが一度もなかった。「あれを入れて」とか「これを入れて」とか、わがままを言わなかった。

 今日初めて、私は中3の息子の気持ちに気付いた。ごめんね。次のお弁当は、おいしいエビフライを入れてあげるからね。

(記者:恒吉 利加)

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