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2008年04月26日(土) 13時42分

<聖火リレー>中国国旗と警察に囲まれて駆けた「聖なる火」ゴール、善光寺では追悼法要、地元民「なんだかなぁ…」オーマイニュース

 「中国がんばれ」「日中友好」──。「北京2008オリンピック聖火リレー長野」が行われる26日、スタート地点となる長野市内の勤労者福祉センター跡地前には、早朝から在日中国人や留学生など1000人近くが詰めかけた。前日の25日は、長野市内でチベット関連のイベントが多く行われたが、市内を車で移動した限りでは、中国国旗の数が圧勝。中国人が乗ったバスや自動車が通ると、歓声をあげていた。【編集部注・この記事はドキュメント方式で更新したものです】

【密着動画】中国人留学生の密着動画(ほぼノーカット)
【動画】午前5時40分の聖火スタート地点は
【写真】サポーターの数は中国圧勝? 早朝からスタート地点に多数詰めかける

【午前6:00=早くも小競り合い】
 長野県の松代では、中国人留学生のバスとチベット支持者がトラブル。チベットの主張を訴える支持者に対し、中国人留学生は中国の国旗と国歌で“対抗”。

【現地ドキュメント】中国人元留学生が「聖火リレー応援」
【写真】警官と小競り合いも、聖火出発前のスタート地点で
【レポート】中国人を”挑発“したチベット側支援者
【動画】大混乱! 騒然! スタート地点で小競り合い

【午前7:30=スタート地点は中国国旗で一色】
 聖火リレーのスタート地点となる勤労者福祉センター跡地前は、あいにくの小雨模様。周辺は中国国旗だらけだ。日の丸と中国国旗の双方を手にする人もみられるが、チベットの旗はわずかで、中国国旗に埋め尽くされた。
 実際にチベットの旗を持っている人々は、安全確保のためなのか、中国国旗を持った人とは別に柵で区切られた一角に“隔離”。しかし、チベットの旗を持っている人々は、どうやらいずれも日本人のようだ。中国人留学生との間で激しい「ののしり合い」も演じられた。
 いずれにせよ、長野の一般市民とみられる人々はほとんど見られないというのは、なんとも不思議な情景だ。

【午前8:30ごろ=聖火リレーは無事スタート】
 大きな混乱もなく、聖火が無事にスタート。ゴールの若里公園までの約18.4キロメートルを、聖火ランナー80人がリレーする。
 スタート地点となった勤労者福祉センター跡地の周囲では、詰めかけた中国人留学生らが中国の国旗を振り、国歌などを歌いっぱなしだ。周辺の警備は基本的に長野県警だが、一部には警視庁の第5機動隊などが動員された。聖火の周囲に配置された警備要員は約100人。彼らがスポーツウエア姿で聖火と並走するため、聖火ランナーの姿はほとんど見えない。コース沿道も厳戒態勢だ。中国メディアの記者も数多く長野入りした。


【午前8:45=飛び交うのは中国語】
 聖火リレーの一陣が出発すると、スタート地点周辺の沿道の人々はすぐに解散。中国旗を掲げた人々の一部は聖火を追いかけ並走体勢に入り、ほかは長野駅やゴール地点で聖火を待つのか、そのまま聖火とは逆方向に移動していった。
 移動している人々をみると、やはり一般市民はほとんどおらず、大半が中国人と思しき人々。人ごみで飛び交う会話も中国語だらけで、とても日本にいるとは思えない。

【写真】第一走者の星野仙一さん、厳重な警備に守られスタート
【動画】その時善光寺では、チベットでの犠牲者へ追悼法要

【午前9:00=沿道でも「中国がんばれ」】
 聖火リレーの第一走者は、既に報じられていた通り、北京オリンピックで野球の日本代表監督を務める星野仙一さん。その周辺は何十人もの警察官が取り囲む。
 コースの沿道でも多くの中国人が詰めかけ、「中国がんばれ」と声をあげ、中国の国歌を歌いながら中国や日本の国旗を振っていた。
 リレーはこの後、長野駅前や休憩所となる「エムウェーブ」前を経て若里公園をめざすが、何十人もの警官に守られた「聖火」は、やはり不思議な感じだ。
 第二走者以降の走行順やメンバーはほとんど事前公表されていなかったが、短距離ランナーの末次慎吾さん、タレントの萩本欽一さん、卓球の福原愛さんらが聖火を受け継いで行った。

【午前10:00=「不愉快じゃない」と萩本さん】
 聖火リレーを走り終えたタレントの萩本欽一さんが記者会見。萩本さんの走行中には、何者かが聖火に向かって物を投げ込むトラブルがあったものの、萩本さんは「意識しなかった。何かあったのかな、とは思ったけど」。また、「欽ちゃんのところで何か言いたいっていう人の気持ちも分かりますけど。ボクにとっては不愉快じゃなかった。不愉快な思いはまったくない」とも。第一走者の星野監督は「(トップランナーは)気持ちいい」と話した。
 一方、卓球の日本代表・福原愛さんの走行中には、チベットの旗を手に「フリーチベット!」などと訴えて沿道から飛び出して来た男性が警察に拘束された。

【午前11:08=取り押さえられる青年】
 南長池交差点付近で、聖火リレーの集団に飛び込んで物を投げようとした男性が警官に取り押さえられた。黒い服を着た青年だ。取り押さえられた青年は路上に倒れ、大勢の警官に取り囲まれた。しばらく動かなくなったが、しばらくして抱き起こされ、車に乗せて行かれた。周囲は一時騒然となった。上空にはヘリコプターの爆音も響く。
 この様子は、オーマイTV取材班の応援のため、地元コーディネータとして現地に車で来ていたオーマイニュース・スタッフ橋爪明日香の父・橋爪聖一が目撃した。どうやら生卵を投げつけようとしたようだ。
 それにしても、多数の警官に警備された今回の聖火リレーは異様。地元民である橋爪聖一も「この聖火リレーって、一体何なんだろう……」と思う。

【レポート】ハプニングに遭遇! 地元民としては「なんだかなぁ…」
【動画】ハプニング発生、南長池交差点付近で

【午前11:30=ゴールの公園にも集結】
 エムウェーブでの休憩を終えた聖火は、並走の警官隊に囲まれ、11時前に再びスタート。
 一方、ゴール地点となる若里公園には、多数の中国人とチベット支援者が集結した。少し陽は射しているが、雨がまた強くなり始める。
 チベット支援者たちは「フリーチベット!」などと訴えているが、警備の第5機動隊が中国人とチベット支援者を完全に“隔離”しているため、大きなトラブルはなし。もうすぐ最終の聖火ランナーがここにやってくる。

【午前11:55=ゴールの公園も中国国旗】
 聖火を待ち構えるゴール地点の若里公園には仮設ステージが設置され、舞台上ではチアリーディングなどが披露されたが、スタート時と同様、周辺は大量の中国国旗に埋め尽くされた。ところどころには五輪旗も見える。詰めかけた中国人らは1000人を優に超えるのではないだろうか。
 しかし、警備の警察によってチベット支援者と中国人らはまったく接触できないようになっているので、トラブルなどは起きていないようだ。テレビ局のものだろうか、上空にはヘリコプターが何機も旋回し、轟音を響かせている。聖火の到着は予定より少し遅れているようだ。

【午後12:30=野口みずき選手がゴール】
 聖火が無事にゴール地点の若里公園に到着。80人目となる最終ランナーは、アテネ五輪女子マラソンの金メダリストで、北京で連覇を目指す野口みずき選手だった。ゴールの式典が行われているものの、雨が再び激しさを増してきた。
 若里公園に詰めかけた1000人以上の群衆を眺めると、チベット人や日本人のチベット支持者もいるものの、8割は中国人という印象だ。ほとんどが中国国旗を振り、中国国歌を歌っている。一般の市民らしき人はほとんどみられない。ここが「長野」という感じがまったくしないのが不思議だ。
 大きなトラブルはないが、日本のチベット支持者が中国人に突っかかり、警官に制止されている。こうしたことをするのは日本人の支持者ばかりで、チベット人自身が中国人に突っかかったりする姿はほとんど見られなかった。

【午後3:00すぎ=「無事」に終了したけれど…】
なんとか「無事」に若里公園の聖火台まで届けられた聖火は、午後2時すぎに長野から東京へと運ばれて行ったようだ。東京・羽田空港を経由し、次の聖火リレーの開催地となる韓国に向かうことになるという。
 長野での聖火リレーは、大きなトラブルこそなかったとはいえ、やはり一般市民から完全に隔離された異様なムードの中で行われた。福原愛選手の走行中に拘束された男性らを含め、合計5人が威力業務妨害容疑で逮捕され、チベット支持者との小競り合いで数人の中国人に軽い負傷者も出たという。
 「この聖火リレーって、一体何なんだろう……」
 地元・長野に住むオーマイニューススタッフの父が語ったように、そんな想いだけが強く残る聖火リレーだった。

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(藤倉善郎、吉川忠行ほか、オーマイニュース現地取材チーム)

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