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2008年04月25日(金) 18時01分

香南の中3硫化水素自殺:巻き添え、不安の20時間 帰宅の住民に疲労濃く /高知毎日新聞

 知ってはいたけれど、まさか巻き込まれるとは——。香南市の中学3年の女子生徒(14)が23日夜、硫化水素を使って自殺したとみられる事件。同じ市営住宅の住民たちは避難を指示され、近くの体育館で不安な一夜を過ごした。一方、女子生徒が通っていた中学校の校長は「まじめでしっかりした生徒がなぜ」と声を詰まらせた。
 ◇「全然眠れなくて」
 ■発端
 「異臭がする」。騒動の発端は、23日午後8時前の110番通報だった。県警機動隊員が市営住宅の一室の風呂場で、女子生徒が突っ伏して死亡しているのを発見した。
 市営住宅は2棟あり、近隣住民約70人が病院へ。硫化水素ガスは毒性が強いため、2棟は立ち入り禁止となった。住民たちは着の身着のままで近くの体育館に避難。主婦(75)は「自分はにおいに気づかなかったが、とても不安。すぐ隣に体育館があったのは不幸中の幸いだ」と話した。午前3時の市営住宅の数部屋には、電気がつけられたままだった。
 また、体育館には「学校に来られなくても欠席にはなりません」と、児童を気遣う近隣小学校長のメッセージが張り出された。
 ■避難解除
 24日昼、県警が女子生徒が自殺に使ったとみられる薬品を運び出し、県中央東福祉保健所が有毒ガスが残っていないかを検査した。作業が終了した午後3時25分ごろ、異臭騒動から約20時間ぶりに2号棟の立ち入り禁止が解除されると、住民らは次々と帰宅。子どもたちが自転車で走り回る普段と変わらぬ光景が戻った。だが、避難した住民たちの疲労の色は隠せなかった。会社員の女性(38)は「眠たくてしかたありません」。避難が同日朝に解除された1号棟に住む主婦(64)は心配で最後まで避難所に待機した。主婦は「夕べは全然眠れなくて。これで安心できます」と荷物を持って帰っていった。
 ■対応
 体育館では地元の保健所の所長が、硫化水素について住民に説明。「においがなくなれば安全」「少しにおっても、健康には影響はない」「硫化水素を吸い込んでも(少量なら)体外に排出される」などと話した。また、保健所に相談窓口を開設、同日夜には保健師が市営住宅を個別に訪問し、不安を取り除くよう相談に乗った。
 ■病院では
 深夜に大量の搬送者が出たことから、香南市だけでなく、高知市の病院も対応に追われた。
 香南市の野市中央病院には、23日午後10時半ごろからけいれんや一時意識不明となった重症の女性2人が救急搬送され、のどの痛みなどを訴える18人が自力で診察に訪れた。女子生徒の母親とみられる女性も一時入院、今も2人が入院している。いずれも意識はあり、命に別条はないという。
 ◇「死亡中学生は不登校」
 女子生徒が通う中学校では24日朝、緊急の全校集会が開かれ、校長が女子生徒の死亡を伝えた。
 学校は、生徒4人も病院に搬送されたことから、安否確認を急ぐなど対応。同日午前、記者会見に臨んだ校長は女子生徒の1年生からの不登校について言及した。
 女子生徒は修学旅行や学校行事には参加するものの、2年時には約7割の日数を欠席していた。しかし、2年終わりごろの進路相談で、担任教師がある高校を薦めると、女子生徒は興味を示していたという。3年になって登校に意欲は見せていたが、今月7、8日に登校し、23日まで欠席が続いていた。また、いじめを受けていたかについて、校長は「把握していない」と話した。
 だが、校長は気がかりな点として、▽1年の2学期にバレー部の練習についていけず休部した▽1年の担任とそりが合わなかった可能性がある▽3年に進級して学習面に不安があった——3点を挙げた。

4月25日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080425-00000216-mailo-l39