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2008年04月25日(金) 17時44分

人気のからくり人形たちが各地で定年退職オーマイニュース

 4月15日、老舗百貨店・そごう横浜店(横浜市西区)で長年親しまれ、楽しい時間を伝えてきた「からくり時計」の人形たちが、老朽化を理由に定年退職を迎えた。

残念がる子どもなど、ほかの写真も見る

 そごうのからくり時計は、『イッツ・ア・スモールワールド』の歌詞とリズムにあわせて現れる人形のかわいい姿が人気を呼び、待ち合わせ場所として利用されていた。人形の現れる時間になると子どもたちや通行人が集まる親しみやすい名物となっていた。

 このからくり時計は壁についた大型のもので、世界の民族衣装をまとった人形20体が「世界の人形時計」として平和のメッセージと楽しい時間を伝えていた。

 かくいう私も幼いころ、母に横浜そごうのからくり時計に連れて行ってもらった記憶があった。当時はめずらしく、とても楽しい時計で時間が過ぎると人形が引っ込んでしまうので「もう1回、もう1回!」とせがんだものだ。大学に入り、横浜へ行く機会も増えると、友人との待ち合わせ場所はこのからくり時計の下であることが多かった。

 からくり時計の下には、大人用と子ども用の張り紙がされた。子どもたちには「せかいのおにんぎょうさんたちはおやくそくがあって、おうちにかえることになりました。みんながここでおにんぎょうさんたちにあえるのは4がつ15にちまでです。でも、みんなはこれからもげんきにそごうにきてね。ありがとう」と人形からのメッセージも掲載された。

 最終日には多くの人が訪れ、人形たちの「退職」を惜しみ、ビデオや写真に収める様子が見られた。からくり時計から人形たちが出てきて曲が流れると集まった人たちがどよめき、カメラのフラッシュが光り、子どもたちの歌声が響いた。人形が時計の中に隠れると子どもたちは「ばいばーい。またねー」と手を振る場面も見られた。市内保土ヶ谷から来た主婦は「今日、最後だというので急いできた。自分も親しみがあったので残念。この子たちは今日が最初で最後になってしまったが、最後に見に来られてよかった」と残念そうに話した。

 そして大阪でも、「からくり人形」が退職するということで多くの人に惜しまれている。大阪の「からくり人形」といえば、もう「くいだおれ人形」のほかないだろう。多くの大阪人に親しまれて、大阪の顔であり、大阪の時代をも見守る人形だ。

 こちらもその行く末が見守られて話題となっている。退職の理由は、店舗の経営の悪化(つまりリストラ?)だが、名物の人形は残して欲しいとの声が多数。果たして「くいだおれ人形」の再就職先は見つかるのだろうか。

 時代の流れとともにか、アナログからデジタルへの時代へと移り変わり、このような「からくり人形」が街から姿を消すのはなんとも寂しいものである。デジタルにはない、温かみが感じられるのに……と残念に思う次第だ。

(記者:南 瑠衣)

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