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2008年04月25日(金) 00時00分

米産牛肉に危険部位…販売か撤去か読売新聞

小売り・外食対応に差

 輸入された米国産牛肉に、BSE(牛海綿状脳症)の病原体が蓄積しやすい特定危険部位が混入していた問題で、危険部位を発見した吉野家など、外食大手の一部がナショナルビーフ社から輸入した牛肉の販売継続を打ち出した。

 一方、スーパーでは同社の牛肉の撤去や販売自粛などの動きが広がった。食の安全を巡る新たな問題の発覚で小売り・外食業界の業績への影響が懸念される。(岩城択、幸内康、二階堂祥生)

◇調達

 問題となったナ社カリフォルニア工場の牛肉を販売していたのはダイエーやマルエツ、西友などだ。

 ダイエーとマルエツは24日、同工場から輸入した牛肉を撤去した。ダイエーは輸入を再開した07年8月以降、米国産のほぼ全量を同工場から輸入していた。「消費者には不安もあると思い、大事を取った」(広報)と説明する。店頭から米国産牛肉の大半が姿を消しており、同日現在、代わりの調達先のメドが立っていない。

 一方、西友は同日、同工場からの商品調達を当面自粛すると発表した。ただ、すでに輸入・販売した商品については「当社基準で厳格な安全性検査を実施し、安全性は確保されている」と、販売中止や商品撤去は行わない。

 ユニーは、同工場以外のナ社の牛肉を輸入していたが「消費者は産地に敏感」として同日、販売を中止した。

 一方、イトーヨーカ堂はほぼ毎日、米国産牛肉を販売しているが、ナ社と取引はないため、販売を継続する。イオンは米国産牛肉を現在も販売していない。

 外食産業では「ステーキのどん」が同工場の牛肉の使用を中止した。

◇安全性

 一方、外食産業のうち、牛丼最大手の吉野家は、自社ホームページで特定危険部位を含む牛肉が提供される可能性がないと強調している。同社広報は、「客から安全性への不安の声はなく、自社工場で発見されたのは、安全管理体制が機能している証し」と話す。

 ステーキ用牛肉を同工場から輸入している、ファミリーレストランのすかいらーく、上ハラミを同工場から輸入している焼き肉チェーン「牛角」、牛肉をナ社から輸入している牛丼大手「松屋」も、安全性に問題はないとして販売を継続する。

◇国の対応

 厚生労働省と農林水産省は24日から、米国産牛肉の検疫を強化した。

 米国産牛肉の輸入では、まず農水省の動物検疫所で一定の割合の箱を開けて検査し、さらに厚労省の検疫所でも抽出調査を行う二重のチェック体制になっている。両省とも同日から抽出数を大幅に増やした。

 ただ、米国産牛肉の輸入を再開した06年7月から07年6月まで輸入業者に義務付けられていた全箱検査を復活させる考えはない。「(検査)システムは機能している」(若林農相)と判断したためだ。

 日米間では米国産牛肉の輸入条件の緩和が協議されているが、政府は「直接的な影響はない」(町村官房長官)との考えだ。

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20080425gr02.htm