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2008年04月24日(木) 00時00分

相次ぐ硫化水素自殺 メーカーや警察、消防の対応は朝日新聞

 相次ぐ硫化水素を使った自殺への対応に洗剤メーカーや警察は苦慮している。

 硫化水素を発生させるために使われる洗剤の容器には『まぜるな危険』との警告が明記されている。しかし、ある家庭用洗剤のメーカーの広報担当者は「間違った方法で使おうと考えている人には『混ぜれば、有毒ガスがつくれる』と知らせることになる」と悩む。「警告文をさらに目立たせても、自殺の防止に効果があるかは疑問。対応のとりようがない」

 一方、京都府警や兵庫県警は、インターネットのプロバイダー各社や業界団体に、硫化水素を使った自殺方法を記した書き込みを「有害情報」として削除を依頼した。わいせつ画像などと違って違法性の法的根拠がないため強制はできず、京都府内では24日までに23社中2社が検討する意思を示したにとどまる。

 消防も初動対応の徹底や二次被害防止の訓練に追われる。消防庁は8日、各自治体に硫化水素自殺が起きた場合の周辺住民への安全対策を徹底するよう指示。事故の起きた香南市の消防本部でも数日前に硫化水素自殺について勉強会をしたばかりだった。

 通報を受けた同本部は今回、硫化水素の発生を想定して防護マスクやガス検知器などを装備して出動。現場に駆けつけた隊員は「まさか実際に起こるとは」と話した。

 今月に入って2件の硫化水素自殺が続いた岡山県の井原地区消防組合は化学防護服を新たに10着を発注。大阪市消防局も今月下旬から化学物質を扱う専門の救助隊が市内25署を巡回し、硫化水素の基礎知識や対応について教える。

http://www.asahi.com/kansai/kouiki/OSK200804240032.html