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2008年04月24日(木) 10時23分

テクノポップアイコンという怪現象オーマイニュース

 「平成のテクノポップアイコン」Perfumeがニューアルバム『GAME』で4月15日付けオリコンデイリー1位と大躍進を遂げている。

 「テクノポップアイコン」は「テクノポップの象徴」と言った意味。「アイコン」はカソリックの聖人の絵を表し、聖人の絵画ではその絵が誰を表すかを示す象徴が書き込まれているために、単なる芸術作品とは異なるアプローチで作成されるために、上のような用法となっている。ちなみにイエス・キリストを洗礼したヨハネは、洗礼用にホタテの貝殻を持った姿で描かれる。

 テクノポップという単語は日本にしかない。「ポップ」の説明は割愛するとして、そもそも「テクノ」と呼ばれる音楽には3種類あることからご紹介せざるを得ない。アメリカ・デトロイトを中心とした英語圏の「techno」、ドイツやオランダを中心とした「tekno」、そして日本の「テクノ」がある。

 すべてに共通するのは電子音を前面に押し出していると言うことぐらいで、「techno」と「tekno」にはやや近い部分もあるが、互いが頻繁に音楽的な意味合いでの輸出や逆輸入を繰り返しているので完全な定義は難しい。また、日本では「テクノ」と「テクノポップ」を同義とする場合も多くある。

 現在、話題沸騰中のPerfumeは自ら「テクノ」であると謳っているが、細分化された電子音楽の樹形図では、実際には「ガラージュ」という枝の部分に立っている。

そこでガラージュの音楽的な系譜を辿ってみよう。

 ガラージュとは、アメリカのゲイが集まったクラブ、「パラダイス・ガレージ」で流されていたハウスが「ガレージっぽい」と言う意味でジャンル分けされた言葉。そしてハウスは同じくアメリカのクラブ「ウェアハウス」で流されていた「ウェアハウスっぽい」音楽がジャンル分けされてできた言葉とされる。

 どちらも定義が曖昧な部分を孕んでいる上、ガラージュの先にある「2ステップ・ハウス」を現在の音楽シーンでのガラージュと考えるような見方もあるため、青竹を割ったようには行かないが、結局のところ源流はハウスと見てよい。

 70年代ウェアハウスで流されていた音楽がどういったものであるか、伝え聞いたところによると、既存のソウルやバラードのレコードと、ドラムマシン、ベースマシンと言った当時出始めた電子楽器を用いて、ダンスグルーヴを作る物であったようだ。
テクノの発祥も諸説有るが、シカゴハウスが源流との見方が主流だ。

しかし、そもそも「テクノ」の呼称はいつから始まったのかといった問題や、その発展にはドイツのクラシック音楽やミニマルの影響を無視できないため同流と見るのは、若干の不安が残る。ミニマルとは音楽だけではなく芸術全般で扱われる最小主義だが、音楽に限った話をすると日本では久石譲が有名である。

 そうして考えていくと、Perfumeをどう位置付けるべきなのかと言う問題が出てくるが、冒頭で述べたように「テクノポップ」は日本にしかないジャンルで、その意味合いを海外から突かれる心配もないのだ。

 だから、安心して「Perfumeはテクノポップアイドルです」と言えるのだ。これで一安心。ただし、テクノポップアイコンは「Aira Mitsuki」氏のプロモーションの際に使われていることは、お忘れなきように。

 ちなみにテクノポップの世界でビッグヒットといえばイモ欽トリオによる『ハイスクールララバイ』(81年)。「良い子、悪い子、普通の子」が歌っていたわけだが、Perfumeの場合は誰が「悪い子」で、誰が「良い子」か、ファンの間でも意見が割れそうだ。

(記者:古川 基)

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