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2008年04月24日(木) 00時00分

米産牛、広がる波紋 対応分かれる読売新聞

吉野家「100%大丈夫」 ダイエー念のため撤去

 BSE(牛海綿状脳症)の病原体が蓄積しやすい特定危険部位が輸入されていた問題で、自社工場で危険部位が見つかった牛丼チェーンの吉野家(東京)は23日夜、「安全性に問題はない」として従来通り営業を続けることを明らかにした。

 大手スーパーのダイエーなどは、問題の牛肉を輸出した米カリフォルニア州の工場の牛肉については一時撤去を決めるなど波紋も広がっている。

 吉野家などによると、混入に気付いたのは今月21日午後6時ごろ。食肉や野菜を加工する同社の「東京工場」(埼玉県大利根町)で、社員が加工前のチェックの際に発見したという。同社では「段ボールをすべて開けて中身を確認しており、店舗に危険部位の肉が行くことは100%あり得ない」と断言する。

 厚生労働省と農林水産省は空港や港で輸入牛肉を抽出検査し、危険部位の混入の有無などを確認している。ただ、輸入業者による全箱確認は昨年6月に終了しており、水際ですべてを点検しているわけではない。

 輸入元の伊藤忠商事(東京)によると、この牛肉は昨年8月に輸入後、冷凍庫で保管され、今月19日に吉野家の工場に出荷された。米農務省の衛生証明書が添付され、ラベルも「牛バラ肉」となっていたため、箱を開けるまで危険部位混入を見抜けなかったという。

 伊藤忠商事は「(問題の牛肉を輸出した)ナショナルビーフ社は米国でも大手で長年の取引もあり、信頼していた。説明を求めたい」としている。

 ダイエーでは昨年8月からナ社の工場から輸入した肩ロースの薄切りなどを販売してきたが、「お客さまのご心配を考慮し、販売を中止した」と説明している。スーパーのマルエツも24日、同工場から輸出された牛肉を店頭から撤去する。

 イトーヨーカ堂は米国産牛肉をほぼ毎日販売しているが、ナ社との取引はない。西友も同工場からの輸入商品の取り扱いはないことを確認したという。

 米国産牛肉は、米国内でのBSE発生を受け、2003年12月に日本が輸入を停止。特定危険部位の除去や生後20か月以下の牛に限ることを条件に05年12月に輸入を再開した。しかし、翌月の06年1月に危険部位の脊柱(せきちゅう)混入が見つかり、半年余りの間、輸入停止措置が取られた。

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20080424gr01.htm