記事登録
2008年04月24日(木) 12時00分

研究結果:メスは近親交配のにおいを「嗅ぎつける」WIRED VISION

近親相姦で生まれた子を忌避するのは、理詰めの文化的伝統ではなく、女性の体に生物学的に組み込まれた反応なのかもしれない。

動物のメスは、近親交配のにおいを文字通り「嗅ぎつける」ことが可能だとする、研究の結果が発表されたのだ。

『Current Biology』誌の4月22日号に、リバプール大学の研究チームによる論文が掲載された。チームは研究のために、1つの点を除いてまったく同じ2グループのオスのマウスを誕生させた。唯一の相違点は、主要尿タンパク質と呼ばれる成分の種類の多さだ。

研究の結果、つがいとなる前に相手の情報を得るのに、『Google』検索で相手の素性を探るとか、辛口の友人に品定めしてもらうといった手段がないメスのマウスは、尿タンパク質を利用していることがわかった。

野生の状態では、遺伝的関係のない両親から生まれたマウスは、遺伝的関係の近い両親から生まれた個体よりも多様なタンパク質を備えている。そして、リバプール大学の実験では、メスのマウスは常に、尿のにおいが最も複雑なオスを選んだという。

ヒトの女性にも同じ能力が備わっているだろうか? 研究者らはまだ解明していないが、その傾向はありそうだ。

嗅覚の手がかりは、われわれが好ましくない相手を察知するのに直感的に用いる手段の1つだ。

とは言うものの、近親交配を好む生物種も存在する。また、状況によっては「キッシング・カズン」[会えばキスする程度の遠い親戚]との結婚にもメリットがある場合がある[親類と結婚したカップルを対象とした調査で、third cousin(8親等の親類)どうしでの結婚が最も多産になる傾向が見られたという]。

近親のペアリングに関しての、非科学的な話。この記事を書きながら、たくさんのジョークが頭をよぎったのだが、披露するのはまったく不適切なのでやめておこう。ただ、この研究があと5年早く登場しなかったのが残念でならない——コメディードラマの『フレンズ』や『となりのサインフェルド』のシナリオに、面白い仕掛けを提供してくれただろうに。

『Current Biology』誌に掲載された論文「マウスにおける、体臭を利用した遺伝的異型接合性の直接的評価」を参考にした。

上の絵画は、フランシスコ・デ・ゴヤの『カルロス4世の家族』。『Wired Science』のライター仲間であるAlexis Madrigalの話によると、王族は近親結婚の見本のようなものだというが、ゴヤのこの絵ほどスペイン王族の「高貴さ」(nobility)——あるいは「非高貴さ」(ignobility)——を如実に物語るものはない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080424-00000002-wvn-sci