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2008年04月23日(水) 20時43分

<ドイツ>切り札の代用ガソリン導入を中止 エンジン腐食も毎日新聞

 【ベルリン小谷守彦】ドイツが地球温暖化対策の切り札の一つとして普及を目指していた、エタノール(バイオ燃料)を1割混合させた代用ガソリン(E10)が、多数の自動車に使えないことが判明。独環境省は今月、来年に予定されたE10の導入計画を中止した。ドイツは2020年までに温室効果ガスを4割削減するとの意欲的な目標を昨年4月に掲げたばかりだが、誤算発覚で出足をくじかれた格好だ。専門家からは削減目標の見直しを求める声も上がっている。

 トウモロコシなどの植物から生成されるバイオエタノールは、温室効果ガス削減に効果があるが、これを混ぜた代用ガソリンは旧式車のエンジンや周辺部品を腐食させる問題が指摘されている。独環境省は当初37万5000台に問題が生じると予想し、割高な価格で現行ガソリンの販売も継続させる予定だったが、今年に入って自動車ユーザー団体が再検証を要請。実際には370万台に影響が生じることが分かった。

 ガブリエル環境相は会見で見通しの誤りを認めたが、「数カ月前に絶賛された環境政策が、自動車業界などから完全に悪者扱いされている」と、混合代用ガソリン導入の方針自体に間違いはないと主張。風力や太陽光以上に活用されているバイオ燃料の将来性に、なおも期待を寄せる考えを示した。

 一方、市民団体「独環境ヒルフェ」のレシュ事務局長は「(排出ガス4割削減の)政府目標は、もう一度計算根拠を見直す必要がある。政府は目標を達成するための代替策を明確にすべきだ」と環境政策の不手際を批判している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080423-00000118-mai-int