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2008年04月23日(水) 19時54分

ガソリン暫定税率復活のドタバタ政治 GW控え駆け込み給油の公算産経新聞

 政府与党が今月末に租税特別措置法改正案を再可決し、5月1日にもガソリン税の暫定税率が復活する見通しとなったため、石油業界は駆け込み需要への対応を急いでいる。暫定税率が復活すると、足元の原油価格の高騰と合わせて、1リットル=160円台に迫る過去最高値となる見通し。
 大型連休(GW)が始まる今週末は駆け込み客が集中する可能性も高く、トラブルの懸念は強まる一方だ。
 需要により異なるが通常、ガソリンスタンド(GS)の在庫は1週間〜10日分程度。暫定税率復活後も各店の判断で在庫分は安い価格で販売することも可能だが、すぐに在庫が尽きてしまうことも想定される。石油連盟の渡文明会長(新日本石油会長)も「約200万キロリットルの駆け込み需要が発生する可能性があり、考えられないような混乱が起こる恐れもある」と懸念を示す。
 売り切れ防止のため、ジャパンエナジーやコスモ石油などは今週末のガソリンの注文受付を通常より1営業日前倒しする通達を出したり、輸送業者との短期契約でタンクローリーを増強したりする対応を行っている。ただ、「台数や契約ドライバーの確保は時期的にも困難」(元売り大手)との声もあり、供給体制は厳しい状況だ。
 石油情報センターが23日発表したレギュラーガソリンの全国平均価格(21日時点)は、前週から横ばいの1リットル=130・6円と底を打った。しかし、新日本石油は原油価格の高騰により、5月1日からの卸価格を約2・4円程度値上げする見通し。他社も同様の値上げとなる見通しで、暫定税率分の約25円と合わせると、現在に比べて30円近い値上げとなる。昨年12月に記録した平均155・5円の更新する可能性は高まっている。
 ただ、消費者の反発も予想され、GSが値上げを決断するのは容易ではない。暫定税率復活後に価格据え置き競争が始まれば、経営が立ちゆかなくなるGSが出てくる可能性は大きい。暫定税率失効からわずか1カ月で復活するという政治の混乱に、石油業界、消費者ともに振り回されている格好だ。

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