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2008年04月23日(水) 22時25分

「吉野家」購入の米国産牛肉に危険部位混入、店頭販売されず読売新聞

 厚生労働省と農林水産省は23日、輸入された米国産牛肉に、BSE(牛海綿状脳症)の病原体が蓄積しやすい特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していたと発表した。

 特定危険部位が見つかるのは、2006年7月に米国産牛肉の輸入が再開されて以来初めて。両省は22日に米政府に詳細な調査を要請するとともに、この肉を輸出した米カリフォルニア州の工場について一定期間輸入を停止する措置をとった。24日からは米国産牛肉に対する輸入検査を強化する方針。

 問題の牛肉は、伊藤忠商事(東京)が昨年8月、同州のナショナルビーフ社カリフォルニア工場から輸入。牛丼店を展開する「吉野家」(同)が購入し、埼玉県内の工場に保管していた。同社社員が21日夜、バラ肉として買い取った700箱(約17トン)の中に骨付きの腰部の肉が1箱(約27キロ)交じっているのを見つけ、22日、伊藤忠商事を通じて両省に連絡した。店頭販売はされていないという。

 脊柱は、脳などとともにBSEを引き起こす病原体がたまりやすい部位とされ、除去することが日本の輸入条件となっている。両省が22日に米国大使館に問い合わせたところ、23日になって、日本向けでない牛肉が間違って交じったとし、その原因については調査中という回答があった。

 両省では「工場側の単純ミスとみられる」として、全面輸入禁止は考えていないとしているが、米政府から詳細な調査結果の報告を受けるまで、ナ社カリフォルニア工場からの牛肉輸入を停止する。日本が06年7月以降、輸入した米国産牛肉のうち同工場からの肉は約1万1000トンで、米国からの輸入の2割近くを占めている。

 米国産牛肉は、米国内でのBSE発生を受け、03年12月に日本が輸入を停止。特定危険部位の除去や生後20か月以下の牛に限ることを条件に05年12月に輸入を再開した。しかし、翌月の06年1月に脊柱の混入が見つかり、半年余りの間、輸入停止措置が取られた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080423-OYT1T00662.htm