記事登録
2008年04月22日(火) 12時41分

【光市母子殺害】裁判はこれからどうなる産経新聞

 最高裁による審理の差し戻しを経て22日、4度目となる判決が言い渡された山口県光市の母子殺害事件。判決はこれで確定することなく、再び最高裁で争われることになるとみられる。光市事件と同様に最高裁が量刑不当として2審の無期懲役判決を破棄した2件は、いずれも第2次上告審で死刑が確定。しかし、犯罪事実そのものが争われた事件では、差し戻しを命じた最高裁とは異なる司法判断が確定した事例もある。

■イラスト■差し戻し控訴審判決公判に臨む被告の元少年

 戦後、最高裁が量刑不当を理由に「死刑が相当」として2審判決を破棄したのは、光市事件で3件目。連続4人射殺事件の永山則夫・元死刑囚=平成9年執行=と、仮出所中に再び強盗殺人事件を起こした西山省三死刑囚には、ともに差し戻し控訴審で死刑が宣告され、その後、最高裁で確定した。

 一方、昭和49年に児童2人が死亡した「甲山事件」では、1審の無罪判決を2審・大阪高裁が破棄。審理を差し戻し、最高裁もこの判断を支持した。しかし、新たな証拠調べが行われた差し戻し後の1、2審はともに無罪を宣告。検察側が上告を断念し、平成11年に事件発生から四半世紀を経て無罪が確定した。

 昭和26年に山口県で老夫婦が殺害された「八海(やかい)事件」では、最高裁の判断が無罪から有罪、再び無罪と揺れ動いた。

 被告5人のうち4人が無罪を主張。4人は1、2審とも有罪とされたが、最高裁は判決に事実誤認があるとして32年、審理を広島高裁に差し戻した。

 これを受けた第2次控訴審で、広島高裁は無罪を宣告。ところが検察側の上告を受けた最高裁は37年、再び事実誤認を理由に審理を広島高裁に差し戻した。その後の第3次控訴審判決は再び有罪。しかし43年、7度目となる第3次上告審判決はみたび高裁判決を破棄し、今度は自ら無罪を言い渡して確定した。

【関連記事】
光市母子殺害 被告に死刑を宣告 差し戻し控訴審
光市母子殺害 「新供述は不合理」と一蹴 主文後回し、厳刑へ
光市母子殺害 死刑か無期懲役か 緊迫の法廷に響く「判決理由」
光市母子殺害 傍聴席求め3886人 混乱防止にパトカーも
光市母子殺害 過去の少年事件の判決は

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080422-00000931-san-soci