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2008年04月22日(火) 10時59分

県、補助金制度見直しへ 商議所不正受給中日新聞

 【愛知県】刈谷商議所に続き、東海商議所と碧南商議所でも県の補助金の不正受給が21日、明らかになった。いずれも小規模事業者への経営指導の実績件数を水増しして報告する手口で、県は岡崎、安城、西尾、蒲郡、豊橋、豊川の6商議所も不正受給の疑いが強いとみている。県内で不正が常態化していたのは、補助金の対象事業と現場の業務実態がずれていることも一因とみられ、2009年度から制度を見直す方針だ。

 「あまり経営指導しなければ、補助金をカットされるという意識があったのかもしれない」

 富吉賢一産業労働部長は会見でそう話し、不正が複数の商議所にわたっている理由を推測した。

 刈谷の不正を受け、県が県内の全商議所について07年度の巡回指導と窓口相談の実績を調べた結果、東海と碧南を含む8商議所で実態と明らかな乖離(かいり)があった。このため、過去5年間分を調べた結果、東海は9852件のうち68・8%、碧南は1万3890件のうち10・8%が虚偽だった。

 いずれも会員名簿などから適当な事業者名を、記録用のカードやパソコンのカルテなどに書き込み、架空の実績をつくりあげていた。県の監査はカードとカルテを見比べ矛盾点がないかチェックする書類審査だけで、見抜けなかったという。

 小規模事業者の経営支援を目的にしたこの補助金は1960年に商工会法が成立したことをきっかけに翌年から国と県が2分の1ずつを負担する形で開始。2006年度から県の単独補助金に全面移管された。

 県産業労働部によると、発足当初は小規模事業所に経営のノウハウがなく、一軒一軒を指導員が回る巡回指導が商議所の重要な役割だったが、最近は産業まつりや街づくり事業など他の業務に手を取られていた。

 しかし、これらの事業が補助金の対象事業に当たるのか、対象外の商議所の一般業務に当たるのかは極めてあいまいだ。このため、富吉部長は「実態に合った制度に見直したい」と話した。

 (山本真嗣)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080422-00000010-cnc-l23