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2008年04月22日(火) 15時00分

<インサイダー>野村証券社員事件…複数口座使い隠ぺい毎日新聞

 野村証券の中国人社員(30)によるインサイダー取引事件で、この社員が知人の中国人名義など複数の証券口座を使って株取引をしていたことが、関係者の話で分かった。証券取引等監視委員会と東京地検特捜部は、多数回にわたった株の発注をいくつかの口座に分散させて、不正取引の発覚を防ぐ狙いがあったとみて調べている模様だ。

 関係者によると、社員らは証券取引法違反容疑が持たれる「富士通デバイス」株など2銘柄を含め計21銘柄を買い付け、約4000万円の利益を得ていた。これらの銘柄では、野村がM&A(企業の合併・買収)の企画・提案をしていたことから、社員が業務を通じて知った未公表のM&A情報を悪用してインサイダー取引を繰り返した疑いも浮上している。

 社員は、M&Aを希望する会社に具体的手法や手続きの助言を行う企業情報部に所属。06年春ごろから株取引を始め、1年余の間に四十数銘柄を買い付けていた。このうち約20銘柄の上場企業については、野村からの企画・提案を受けて、株式の公開買い付け(TOB)や株式交換などの手法でM&Aが実施されていた。

 社員と知人の中国人は同時期に京都大に在学し、そこで知り合ったとみられる。社員はM&Aの企画・提案を通じて知った株式交換などの情報を知人に伝え、知人名義の口座で取引をさせた疑いがある。この知人はさらに親族から証券口座を借りて取引していたとみられる。

 社員と同様、知人らも頻繁に売買を繰り返し利益を得ていることから、監視委と特捜部は不正と知りながら取引をしていた疑いが強いとみている模様だ。

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