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2008年04月22日(火) 13時23分

光市母子殺害関係・識者談話時事通信

◇判決は全くの間違い
 神戸連続児童殺傷事件で少年審判を担当した元裁判官の井垣康弘弁護士の話 法が犯行時18歳以上の少年に死刑を認めているのは、成人と同程度に成熟していることをイメージしている。しかし、元少年は父から虐待を受け続け、中学1年時には実母が自殺し、人格の正常な発育が止まった。体は大人でも「こころ」は中学生程度であるとすると、死刑判決は全くの間違いだ。法律家は心理の専門家(少年鑑別所技官・家裁調査官・大学の心理学ないし精神医学の教授)の説明を理解する基礎的能力がない。全くの素人という前提でよほどかみ砕いて説明し直さないと、最高裁も危ない。心理学者はこの際、家裁の記録も含め社会に開示して理解されるかを試し、「素人にも分かってもらえる説明の仕方」を勉強してほしい。
◇弁護士への信頼、大きく崩れる
 諸澤英道常磐大学理事長(被害者学) 弁護団の主張を軽く受け流すことはできたが、広島高裁は1つ1つ丁寧に答えたのは意外だ。これにより、最高裁は「高裁認定」と判断でき、今後の裁判は長期化しないだろう。一方、弁護団の主張は遺族には耐え難く、一般の人にも混乱を与えた。法律論として言いにくいが、弁護士に対する信頼が大きく崩れることになった。幼い子どもを1人の人間と見てこなかった中、泣き叫ぶ乳児の殺害という許されない行為の厳罰化は、国民感情を背景にした(司法の流れの)目に見えない変更と思う。 

【関連写真】 〔写真ニュース〕当時18歳に死刑判決
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