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2008年04月21日(月) 12時57分

フランス経済界、中国デモの影響懸念朝日新聞

 【パリ=国末憲人】中国で広がっている反仏デモに対し、フランス国内で経済界を中心に、影響を懸念する声が出始めている。サルコジ仏大統領は中国首脳に書簡を送って事態の打開を目指しているが、仏世論は依然、中国に批判的。政権も「親中国」の態度を示しにくい状況だ。

 20日付の仏週刊紙ジュルナル・デュ・ディマンシュのインタビューに応じた仏系スーパー「カルフール」のデュラン最高経営責任者(CEO)によると、カルフールは中国国内で112店舗を展開しており、1日の客は200万人に達するという。同スーパーが中国の反仏デモで標的となったのは、「カルフールが(チベット仏教の最高指導者)ダライ・ラマ14世を支援している」とのうわさが中国で広がったためとみられる。

 デュラン氏はこのうわさを明確に否定。「カルフールはいかなる政治的宗教的立場も支援しない」と述べた。

 ルモンド紙によると、中国に進出している仏企業の間では「中国の怒りを目覚めさせるな」との慎重な態度が広がっているという。同紙などによると、世界最大手の仏高級ブランドグループ「モエヘネシー・ルイヴィトン」(LVMH)がダライ・ラマ14世を支援している、とのうわさが中国で出ており、ルイ・ヴィトンの不買運動が呼びかけられている。同グループのアルノー会長はフィガロ紙に、うわさを否定した。

 サルコジ大統領は中国首脳にあてた書簡を用意。23日から訪中するラファラン元首相に託し、事態の打開を図る方針だ。中国通として知られる元首相はシラク前大統領の書簡も携え、温家宝(ウェン・チアパオ)首相と面会するという。

 しかし、仏国内では依然、中国の人権状況への懸念やチベット人への同情が強い。パリ市は、ダライ・ラマ14世に名誉市民の称号を授与する方針を示している。 アサヒ・コムトップへ

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