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2008年04月21日(月) 12時01分

細胞をつかみ、「感触」も伝える超小型ピンセットWIRED VISION

映画『エイリアン2』で、主人公リプリーが重作業用マシン『パワーローダー』を操作するのを見て以来、われわれは、物をつかむロボットが大好きだ。

トロント大学の研究チームが、顕微鏡を使わないと見えないくらいの規模で物を持ち上げることができ、その触覚をも体感できるという、(本物の)ピンセット・ロボットを開発した。

『Journal of Micromechanics』に掲載された論文によれば、ピンセットは長さ3ミリで、心臓の細胞を1個1個つまんで損傷を与えずに移動させることができるくらい感度がよいという。[NewScientistの記事によると、アーム部分は3ミリだが、先端部分は10マイクロメーター幅の細胞をつかむことができる。]

このピンセットには、接触検出システムも搭載されており、対象物に応じて、表面に加えられる相対的な力を(20ナノニュートンまで)認識できる。対象の表面に加える力をソフトウェアを使ってあらかじめ設定しておくと、半自動的に物体を移動させることができる。[細胞に接触してピンセットを設定・動作させるまでが数秒で完了し、人間の動作よりはるかに速いという。]

研究チームは、細胞を移動させるのにこのピンセットを使ってきたが、技術業界に提供すれば利用方法は限りなくあると考えている。「シリコン部品をつかんだり、物を組み立てたりできる」と、研究を主導したYu Sun氏は『NewScientist』に語っている。

あとどれくらい経てば、映画『ターミネーター』シリーズに登場するアンドロイド『T-800』の組立ラインにこのピンセットを使えるようになるのだろうか?

NewScientistの「そっと物をつかめる小さなロボットの手」と、『Gizmodo』の記事を参照した。

[NewScientistの記事によると、このピンセットはシリコンウェハからエッチングで製造できるので、価格も安い。ロットサイズ100個のバッチ生産で、1個あたり50ドルになるという。]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080421-00000005-wvn-sci