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2008年04月21日(月) 23時08分

長銀粉飾訴訟、3被告に有利に見直しへ 最高裁で弁論朝日新聞

 98年に経営破綻(はたん)した旧日本長期信用銀行(現・新生銀行)の粉飾決算事件で、証券取引法違反と商法違反の罪に問われた元頭取・大野木克信被告(71)ら3人について、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は21日、弁護側、検察側双方から意見を聞く弁論を開いて結審した。

 判決日は後日指定される。3人は一、二審とも執行猶予付きの有罪とされたが、無罪を主張している。最高裁が結論見直しに必要な弁論を開いたことで、被告に有利な方向で判決が見直されることが、確実視されている。

 大野木元頭取と元副頭取2人の計3人は98年3月期の決算で約3100億円の損失を隠し違法に株主に配当したとして、逮捕・起訴された。一、二審判決は当時の大蔵省が97年に出した資産査定通達などに従うことが公正な会計慣行になっていたとし、これに逸脱した会計処理をしたことが違法とされた。

 弁護側はこの日、「97年通達は当時まだ会計慣行になっておらず、旧来の基準に従った会計処理をしても違法とはいえない」と主張した。旧長銀に巨額の公的資金がつぎ込まれ、その後、刑事責任が追及されたことに対しては「長銀の最終走者として難局に立ち向かった被告らを処罰して、国民の留飲を下げさせようとした」と批判した。

 一方、検察側は「回収の見込みがない不良債権を、損失処理しなかったのは違法だ」と反論した。

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 〈長銀の破綻〉 戦後の産業金融の一翼を担った旧長銀は、バブル経済期の過剰な不動産担保融資が原因で多額の不良債権を抱え、98年に経営危機が表面化。同年10月、金融再生法に基づいて一時国有化された。資産24兆円の大規模銀行の破綻は世界にも例がなく、債務超過の穴埋めなどに約7兆円の公的資金がつぎ込まれた。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY200804210253.html