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2008年04月21日(月) 11時40分

【妹バラバラ事件】勇貴被告は何語る? 午後に2度目の被告人質問産経新聞

 東京都渋谷区の短大生、武藤亜澄さん=当時(20)=が自宅で殺害、切断された事件で、殺人と死体損壊の罪に問われた次兄の元予備校生、勇貴被告(22)の第5回公判が21日午後1時半から、東京地裁(秋葉康弘裁判長)で開かれる。精神鑑定を行った鑑定医が「殺害時は心神耗弱、遺体の損壊時は心神喪失だった」との見解を示したことを受けて、この日の公判では勇貴被告に対する2度目の被告人質問が行われる。鑑定結果を受けて、勇貴被告が犯行時の心情をどのように語るのかが注目される。
 公判は昨年7月に始まったが、弁護側は「犯行時は心神喪失か心神耗弱だった」と主張し精神鑑定を申請、秋葉裁判長が実施を決めた。鑑定のため昨年9月5日の第3回公判を最後に約半年間にわたり中断。3月24日の第4回公判で鑑定結果が報告された。
 鑑定結果は、勇貴被告が「生来のアスペルガー障害、中学時代に発症した強迫性障害に加え、犯行時には解離性障害を発症していた」と指摘。「被害者の挑発的な態度で人格内部に隠れていた、自分でも認識していない部分が爆発して犯行に及んだ」とした。
 その上で「殺害時の責任能力は著しく限られており、遺体損壊時には解離性障害を引き起こしていて責任能力はなかった」と結論付けた。
 地裁が「犯行時は心神喪失だった」と認定すれば刑法の規定で刑事責任は問われず無罪となり、心神耗弱でも刑が軽減されることになる。このため責任能力を争っている弁護側にとっては有利な鑑定結果が出たといえる。
 勇貴被告は昨年8月の第2回公判での被告人質問で、殺害時の感情を「ドライな感じ」と表現。遺体切断時については「ほとんど覚えていない」などと語っている。
 きょうの被告人質問で弁護側は、勇貴被告の責任能力が限定的であることを裏付けるため、改めて犯行当時の勇貴被告の心情を引き出していくとみられる。
 一方、責任能力があったことを立証したい検察側が、どのような質問で勇貴被告を追及するのかが注目される。

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