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2008年04月20日(日) 03時03分

増資ブローカー、株価維持狙い提携話…架空新規事業も提案読売新聞

 投資ファンドを使った上場企業の資金調達を巡る脱税事件で、IT関連会社の宮城和良社長(42)らが増資した企業3社に対し、実現性の乏しい新規事業や畑違いの業務提携を提案していたことがわかった。

 株価が下がれば増資を引き受けた投資ファンドに損失が出る。新規事業などの発表は株価が上がる要因になるため、宮城社長らを知る関係者は「株価を維持する狙いがあった」と指摘している。

 宮城社長らのグループは2004年〜05年、機械関連会社「日本ファーネス工業」(現NFKホールディングス)、金融会社「クオンツ」、建設会社「井上工業」の上場3社と、増資の受け皿となるファンドを仲介、191億円の資金調達に協力した。

 ファ社関係者などによると、宮城社長は増資後、ファ社に自分の経営する電動車メーカーへの資本参加を提案。ファ社はこれを受け入れて04年10月、「電動モーター関連分野で新規事業を開拓する」と発表した。

 ホテルで新規事業スタートのパーティーも開き、メーカー側が超電導分野での国内第一人者を顧問に迎えたと宣伝するなどし、発表直後にはファ社の株価が1割程度上昇した。実際には顧問就任の事実はなく、電動モーター分野で業績を上げることもなかった。

 宮城社長らはさらにファ社とクオンツに対し、井上工業との業務提携を持ちかけて05年8月に発表させた。3社はもともと取引がなく、宮城社長が「ファ社と井上工業をくっつける」と強引なことを言い出したため、提携は約半年で解消されている。

 宮城社長とともに東京国税局から所得税法違反容疑で告発されたコンサルタント会社の本多俊郎社長(41)は、企業側に「私どもにはいい投資家がついている」と話していたという。ファ社の株価は増資を発表した04年7月に急騰し、その後徐々に下がっていた。グループ関係者は「電動車事業や業務提携を発表することで株価を維持しようとした」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080420-00000005-yom-soci