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2008年04月20日(日) 02時45分

学校裏サイト調査 サイトは激減、書き込み者は3.2%オーマイニュース

 文部科学省は、いわゆる学校裏サイトに関する実態調査(「青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査」)を公表した。中高生の利用を想定した学校裏サイト(学校非公式サイト)の全国規模の実態調査は初めて。ウェブ調査では、誹謗・中傷、わいせつ、暴力誘発の3分類の書き込みもチェックした。また、群馬、兵庫、静岡の3県では中学、高校生を対象にした利用実態のアンケート調査も行った。

◆学校裏サイトは「激減」?

 それによると、「学校が公式に開設運営するサイトとは別に中高生の利用者(管理運営、閲覧、書き込み等)を想定した公開型の各種のコミュニティサイト」を「学校非公式サイト」と定義した上で、

 1)特定学校非公式サイト(実在の学校名、運営・閲覧・利用は中高生が原則)
 2)一般学校非公式サイト(全国の生徒からの利用を想定)
 3)スレッド型学校非公式サイト(大型掲示板のスレッドとして学校名)
 4)グループ・ホームページ型学校非公式サイト(少人数の生徒らが共同管理)

 といった4種類に分類。サイトの数としては、3月の時点で、38260サイトが確認できた。このうち、1)は858サイト、2)は1931サイト、3)33527スレッド、4)は1944サイトだった。ただし、SNSは対象外。

 NPO法人青少年メディア研究協会が2006年12月25日時点で、上記分類での1)について調査を行ったときは、群馬、茨城、栃木、埼玉の4県会わせて920のURLが確認されていた。群馬大学社会情報学部大学院・下田博次教授の研究室では、その数値をもとに、全国で最小12000サイト、最大で 15000サイトが存在すると推定していた。しかし、今回の調査では、1)は全国で858サイト、2)を合わせても2789サイトだった。

 この推定値との差は何によるのか。ひとつの理由に、推定値の計算の仕方がある。4県の調査から単純計算した結果だったのだが、実際には地域差があったことだ。1)のブロック別の比較では、「関東」がトップで61%、続いて「北海道・東北」11%、「九州・沖縄」9%、「近畿」8%、「中国」4%、「中部」3%、「北信越」と「四国」2%。調査では、地域によって偏りがあることがわかった。

 ただし、報告書では、1)と2)が「激減した」と見ており、理由としては、「プロフという媒体に発信遊びの人気が移って行った」ことや、3)は開設・運営・管理の手間が省けること、「子ども向け遊び業界における競争と新たなビジネスモデルの登場」があげられている。

 そのため、3)は地域差が1)と2)よりは縮小している。3)のブロック別比較では、「関東」26%でトップで、「近畿」20%、「九州・沖縄」15%、「北海道・東北」14%、「中国」9%、「中部」7%、「四国」3%だった。

 また、これらのサイトの中で、群馬県と静岡県、兵庫県の3県における1)と2)について、誹謗・中傷、わいせつ、暴力に関する「有害情報発信」の調査した。それによると、3県合わせた1)は、217サイトで、誹謗・中傷が認められたのは102件と、47%だった。このうち、生徒が対象になっているものは 49件で、48%。教師が対象になっているものは26件、25%だった。

 わいせつ情報は217サイト中123サイト、57%で発生していた。このうち、文字情報によるものが43件、35%。写真、アニメ、画像によるものが 3%。そのほかはわいせつなサイト、ホームページへのリンクなどが含まれる。また、暴力情報は217件中82サイト、38%で発生していた。

◆学校裏サイトへの書き込みは3.2%

 一方、群馬県と静岡県の中高生と兵庫県の高校生2418人を対象にした「アンケート調査」を実施した(回答率62.9%)。それによると、「学校非公式サイト」について「知っている」のは33%。このうち、「同じ学校の友達や後輩」を通じて知った人が最も多く61.8%。「検索エンジンで知った」のは 24.9%だった。

 また、学校非公式サイトを「知っている」と回答した中で、「見たことがある」のは70.5%。全体から考えると、23%。書き込みの経験は、閲覧経験のある人の中では13.8%。全体の3.2%だった。閲覧目的は「暇つぶし」がトップで76.8%(複数回答)だった。

 さらに、閲覧経験のある中で、「自分が落ち込んだことがある」は7.9%、「友達が落ち込んだことがある」が9.3%、「家族が落ち込んだことがある」は0.8%。このうち、「自分が落ち込んだことがある」の中で相談した相手は「友達」が最も多く57.1%。「誰にも相談しなかった」は42.9%だった。

 これらの数値から判断できることとして、同報告書では、「全てが書き込みや管理などをするような利用者、すなわちヘビーユーザーではない」ため、「多くは興味本位で覗く程度」としながらも、「ヘビーユーザーの発信レベル次第では閲覧者達に悪い影響も生じるとみるべき」としている。

 ただし、「思春期は大人に隠れて危ない遊びをしたり、有害だと言われている情報に接したりしたい時期」だとして、それらの行為をすべて駄目と抑え込んでしまうのは、別のところへ若者のエネルギーが向かうだけ、とする。そのため、「保護者や教師の役割」は大きく、「親の同意がないかぎりフィリタリングをかけるとしたことは、親子間の未成年者の携帯電話使用のあり方について意見交換する良い機会にもなる」と、未成年の携帯電話利用者は、原則フィルタリングをかけるとした業界の判断を追認した格好だ。

(記者:渋井 哲也)

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