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2008年04月19日(土) 00時04分

スーパー独自のPB商品好調 割安感が人気の秘密朝日新聞

 スーパーの売り場でメーカー品より割安の「プライベートブランド(PB)」の販売が急拡大している。メーカー品の値上げラッシュのなか、消費者の支持を集めた。イオンやセブン&アイ・ホールディングスはPB売上高を2〜3年で3〜4倍に引き上げ、他のスーパーも追随する。

山積みされたPBの100円菓子。先週まではメーカーの商品が置かれていた=18日、東京都大田区、竹花徹朗撮影

 総合スーパー最大手のイオンは18日、添加物を抑えたPB商品を10年度までに3倍に増やす方針を明らかにした。5月からはパート従業員にも商品企画会議に参加してもらい、消費者重視の姿勢を打ち出す。「トップバリュ」のブランドを中心に約5千品目のPBを扱うが、メーカー品より1〜3割ほど安い。特に大手メーカーが値上げした食品と同じ分野が好調で、2月以降、食パンが前年比約4倍も売れた。

 イオンは炊飯器や掃除機などの家電製品や衣料も拡充し、10年度に約6千品目、売上高で07年度の2.8倍の7500億円をめざす。

 セブン&アイは、PB商品「セブンプレミアム」の09年度の目標売上高を、07年度の4倍の3200億円と見込む。イトーヨーカドーのほか、コンビニエンスストアのセブン—イレブンにも割安の洗剤やドレッシングがずらり。大手メーカーのカップめんは特売価格で120円前後だが、88円のPBカップめんを通路側や通路の間に目立つように山積みにしたところ、昨年末の5倍の売れ行きになった。4月のサラダ油は前月比4割増売れた。

 ユニーも4月から、傘下のコンビニ、サークルKサンクスと共通のグループブランド「UUCS」を開始。88円の菓子パンなどを売り、1年弱で2倍近くに増やす。西友も加工食品などの「グレートバリュー」を08年の1年間で、1.5倍に拡充する計画だ。

 消費者は「ふだん通うお店がつくる商品なら安心で、なにより価格が安い」と好反応を示し、PB商品をまとめ買いする人も多い。昨年秋以降、食品を中心に値上げが相次ぎ、生活防衛色を強める消費者のニーズをつかんだ。

 PB商品は、商品CMなどの宣伝費もほとんどかけず、容器や包装を最小限に抑え、メーカー品よりも割安にできる。小売り側は企画から販売まで一貫して関与する「安心感」を打ち出せるメリットもあるが、ひとたび事故が起きれば、企業全体の致命傷につながってしまう可能性もある。(伊藤裕香子)

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 〈プライベートブランド(PB)〉 スーパーなどの小売業者が独自に製品を企画・開発し、メーカーに製造を依頼して、小売業者のブランドを冠した商品。食品、日用品、衣類、家電製品などがある。宣伝費がかからず、余分なコストも削減しているため割安になる。製造するのはほとんどが国内大手メーカー。自社ブランド製品と競合するケースもあるが、PBに協力することで売り上げ増が期待できる。製造したPBは全品買い取りが原則で、メーカー側は工場を計画的に稼働させることもできる。欧米ではすでに広く普及し、「ストアブランド」とも呼ばれる。 アサヒ・コムトップへ

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