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2008年04月19日(土) 20時31分

2ちゃん発、素人たちのデモ 名古屋でチベット弾圧抗議朝日新聞

 「フリー・チベット(チベットに自由を)」——。インターネットを通じて知り合った会社員や大学生らによる「一緒にデモをつくろう」という呼びかけで、関東や関西からも集まった約500人が19日、名古屋市で、中国政府のチベット弾圧に対する抗議デモをした。デモに加わるのが初めての人も多く、手作りのプラカードなどを掲げながら、繁華街を1時間ほど行進した。

ネットでの呼びかけに集まった人たちが、繁華街をデモ行進した=19日、名古屋市中区、佐藤慈子撮影

 名古屋市東区の法律事務所事務員、内田隆さん(32)は妻とベビーカーに乗せた1歳8カ月の長男と参加した。「特定の政治色がないということで安心して来ました。ネットだけでは限界もあると感じていたが、思いを形にできた」

 定年を迎えたばかりの愛知県一宮市の男性(60)は先頭グループを歩いた。後ろに続く長い行列を振り返って「こんなに集まるなんて。数の力はいいアピールになる」。

 デモのきっかけは、弾圧問題に関心を持った岐阜県多治見市の会社員吉川由紀さん(29)が「各地で抗議デモが起きているのに、なぜ地元でないのか」と思ったことだった。3月末にネット掲示板「2ちゃんねる」や交流サイト「ミクシィ」で開催を呼びかけたところ、東海地方に住む20〜30代の男女5人が集まった。吉川さんはデモ主催どころか、参加の経験もない。「素人」たちが警察への届け出などの準備を進めた。

 ネットの書き込みには過激な行動をあおる意見もあったが、吉川さんは「集まってみればいい人ばかり。人間の力を感じた」。

 沿道には、デモ行進に手を振ったり、拍手を送ったりする人も目立った。そのひとり、名古屋市の会社員女性(23)は「自分では何の抗議の声も上げられないうちに、北京五輪へ進んでいってしまうことに疑問を感じていた。声を上げることって大事ですね」と話していた。 アサヒ・コムトップへ

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