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2008年04月18日(金) 15時34分

ラテンポップの人気スターはチャベスと「犬猿の仲」COURRiER Japon + hitomedia

グラミー賞に2度輝いているスペインの人気シンガー、アレハンドロ・サンス(39)がチャベスと火花を散らしている。サンス側の発表によると、ベネズエラの首都カラカスで予定していたライブが、この3か月で2度も中止に追い込まれたのだという。
ネット上ではすぐにサンスのライブ再開を求める嘆願書が出回り、シャキーラやリッキー・マーティン、ジェニファー・ロペス、さらにはペネロペ・クルスやデビッド・ベッカムなど、各界のスーパースターやアーティストたち160人が署名した。
一方のチャベスはライブを中止に追いやったとの疑いを否定し、「政府はアーティストの活動を支持している」とコメント。
なぜチャベスはサンスを嫌うのか。サンスはとくに政治的な内容を歌っているわけではない。二人の対立は2004年にさかのぼる。当時、チャベス反対派が大統領罷免の国民投票を行うために300万人の署名を集めていた。このときベネズエラを訪れていたサンスは取材陣からの質問に対して、チャベスを独裁的で言論の自由を奪っていると評し、さらに「もし僕に対して歌うのをやめるよう300万人もの署名が集まったら、僕は間違いなく歌手をやめるね」と発言したのだ。
これに触発されたベネズエラ政府は、なんとネット上で実際にサンスの歌手廃業を求める署名運動を展開した。この試みは失敗に終わるが、このとき以来、サンスは空港で足止めを食らったり、ホテルの予約ができなかったりといった嫌がらせを受けているのだという。
とはいえ、今回のアーティストらの署名運動に関しては、疑問も投げかけられている。サンスのライブ再開を求める有名人たちは、ブッシュ政権がキューバなどからのアーティスト入国を拒んだときには、みな口をつぐんでいたからだ。たとえばグロリア・エステファン夫妻は、「カストロ政権に与することになる」として、キューバ人アーティストが米国のラテン・グラミー賞に出席することに一貫して猛反対してきた。
ちなみに、サンス自身はキューバ人アーティストの米国への入国禁止措置には反対している。反カストロ派の牙城と言うべきマイアミに現在住んでいるサンスが、こうした主張をするのは、勇気のいることだ。サンスは「ベネズエラの人々に言論の自由が保障されるまで、僕は(チャベスとのケンカを)やめるつもりはない」と語る。

ロサンゼルス・タイムズ(USA)より。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080418-00000000-cou-int