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2008年04月18日(金) 09時58分

迷惑メール、法改正で送信全面禁止 海外発規制へ諸外国の協力カギ産経新聞

 パソコンや携帯電話に舞い込む、差出人不明の怪しげなメール。いわゆる「迷惑メール」が法改正によって、今後は事前同意がない限り、送信が全面禁止され、罰金の上限も現行の30倍と厳しくなる。ただ、迷惑メールは海外発が多く、本当に効果を上げられるかは、諸外国の協力にかかっているともいえそうだ。(社会部 水沼啓子)

<<拡大イメージ>>迷惑メール、「現行の方式」と「導入後の方式」

 総務省がこのほど国会に提出した「特定電子メール送信適正化法(迷惑メール法)」の改正案は今国会で成立し、平成20年中にも施行される見通し。

 迷惑メール法は、大量に送信される出会い系サイトの宣伝メールが問題となったのを受け、14年に施行された。

 警察庁によると、19年中に携帯電話などの出会い系サイトを通じて犯罪被害にあった18歳未満の青少年は1100人に上るなど、出会い系サイトは社会問題にもなり、厳しい規制が求められている。

 現行は受信拒否の連絡が来た場合のみ送信を禁止する方式(オプトアウト)だが、今回の改正で、欧米など多くの国が採用している、事前に同意した相手にのみ送信が可能となる方式(オプトイン)が導入され、迷惑メールの送信がしづらくなる。

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 迷惑メール法の改正は、今回で2度目となるが、前回の17年の改正では、送信者の情報を偽った迷惑メールの場合、発信者に直接刑事罰を科せられるようになったが、発信者を特定することは難しく、これまで摘発されたのはわずかに4件のみ。事実上、迷惑メールは野放しだ。

 新たな改正法では、総務省が開設している「迷惑メール相談センター」(http://www.dekyo.or.jp/soudan)に寄せられた受信者からの情報などをもとに、悪質な場合、ネット接続業者などが送信サービスを拒否したり、総務相がメールアドレスなどの契約者情報を電気通信事業者に求めることもでき、現在よりは踏み込んだ対応が可能になる。悪質な業者に対する罰金の上限も、現行の100万円以下から3000万円以下に引き上げられ、罰則も強化される。

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 パソコン向けの迷惑メールの場合は、違反しても規制の手が届きにくい、中国やフィリピンといった国外からのものが多くを占めるが、今回の改正で海外発も規制の対象となることを明確化する。当該国の当局に迷惑メールの送信者の情報を提供し、取り締まりを求めることもできるようになる。

 総務省は「犯罪の端緒となる出会い系サイトなどの迷惑メールを減らすことで、犯罪防止効果は期待できるのでは。海外での連携も強化していきたい」としており、今後は迷惑メール担当の政府関係者らが集まる国際会議などを通して協力を求め、海外発の迷惑メールを減らす方針だ。

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