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2008年04月18日(金) 16時08分

「開かれた寺」苦渋の決断 善光寺、聖火辞退東京新聞

 長野市の北京五輪聖火リレーで、善光寺が18日、出発式の辞退を市に伝えた。申し入れの会談後、会見した善光寺の若麻績(わかおみ)信昭寺務総長は、チベット問題など「諸般の事情を考えて決定した」とこわばった表情で話し、苦渋の決断だったことをうかがわせた。

 善光寺側は午前11時半から、市実行委員会と市役所6階会議室で話し合いを行い、約1時間後の午後零時半、8階会議室で記者会見に臨んだ。会見には法衣姿の僧侶4人が並んだ。

 若麻績寺務総長によれば、チベットで僧侶が弾圧され、欧米など各地で聖火リレーで抗議行動が起きると、寺には連日、100件を超える「出発式を辞退すべきだ」という意見が寄せられたという。「会場を引き受けるべきだという声はなかった」と説明した。

 数日前には、市実行委員会、長野県警との協議で境内への一般参拝客の立ち入りを禁止する計画を伝えられた。

 「開かれた寺」を自負する住職らには受け入れがたく、歴史的な文化財に傷をつけてはいけないという思いもあったという。

 善光寺は長野市を代表する名所。1998年の長野冬季五輪は善光寺の鐘で開幕した。

 「私たちは北京五輪開催を支持しないわけではない。五輪は開いてほしい」。若麻績氏は五輪憲章がうたう世界平和への祈りを込めるように話した。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008041890160819.html