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2008年04月18日(金) 13時49分

善光寺が五輪聖火出発式を辞退、長野市は出発点変更へ読売新聞

聖火リレーのスタート地点問題で、協議のため長野市役所を訪れた善光寺関係者(18日)

 長野市で26日に行われる北京五輪聖火リレーで、出発式会場に予定されていた善光寺は18日、市に対し、「一般の参拝客への影響が懸念される」として、会場の辞退を申し入れた。市側は意向を尊重し、出発地点の変更を決めた。

 市の実行委員会は本番まで1週間余りとなるなか、ルートと警備態勢の見直しを迫られることになった。

 聖火リレーをめぐっては、各国で妨害行動やコースの変更が相次いでいた。

 市への申し入れ後に記者会見した同寺の若麻績(わかおみ)信昭・寺務総長は「善光寺は開かれた寺で、どこからでも境内に入ることができるため、警備が非常に難しい」と述べ、参拝客の安全確保が辞退の主な理由と説明した。

 同寺は「三門」(山門)の修復が終わり、今月23日に竣工(しゅんこう)式が予定されている。26日は大型連休の初日にあたり、増加が見込まれる参拝客に対し、「迷惑をかける訳にはいかないと考えた」という。チベット問題をめぐり、欧米でリレーへの妨害があったことに関しては、「仏教、宗教の場として、チベットに対する人権問題も考慮した。チベットの宗教者に対する弾圧を憂慮している。国宝や国の重要文化財も多く、それを守る必要もある」と語った。

 長野市側では申し入れを受け入れ、日本オリンピック委員会(JOC)や北京の組織委員会に報告した上で、改めてスタート地点を決定する。

 長野市の実行委員会事務局長の篠原邦彦教育次長は「衝撃を感じている。出発地点は今週中に決めないと間に合わないと思う。コースの変更はできるだけ少なくしたい」と話した。

 善光寺では17日に僧職や事務局役員ら約25人が出席し、局議を開催。「チベット人と同じ仏教徒なのに、中国側に協力していると受け取られないか」などとする意見が出る一方、「宗派と関係なく、だれにも開かれた寺が受け入れを断ることは望ましくない」とする声もあったという。幹部が18日午前、再度協議し、辞退を決めたという。

 当初の計画では、聖火リレーは善光寺の本堂前を出発。参道を通って中央通りなどを経由し、市内の若里公園までの18・5キロを予定していた。

 長野市側はこれまで、イベントの一部中止を決めたが、コースはそのまま実施する考えだった。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/news/topic/national/news/20080418-OYT1T00391.htm?from=main1