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2008年04月17日(木) 03時02分

国民年金保険料、パート天引き 未納対策で厚労省方針朝日新聞

 国民年金の保険料未納問題で、厚生労働省は16日、パート労働者の保険料を事業主が給与から天引きで徴収し、低所得で免除となる人は本人からの申請がなくても社会保険庁が手続きできる仕組みを導入する方針を固めた。来年度中にも実施し、60%台の納付率を大幅に引き上げることを目指す。

  

 04年成立の年金改革関連法で09年度以降、基礎年金の国庫負担率を2分の1に引き上げる。2.3兆円の財源が必要で、負担率引き上げの理解を得るには未納問題の改善が不可欠と判断した。近く開く厚労省の社会保障審議会年金部会で本格的な議論を始め、早期の法案提出を目指す。

 04年度末時点で国民年金の加入者は1900万人。うち、過去2年間保険料を払っていない未納者は約4分の1の約480万人。

 新たな仕組みは、厚生年金の適用外となっている非正規労働者(週労働時間30時間未満)らについて、企業が保険料徴収の代行責任を負うようにする。企業が国税庁の代わりに所得税を源泉徴収するのと同様の仕組みだ。

 実現すれば未納者の4割以上が天引き対象となる。課題は、徴収手続きという事務負担が新たに加わる企業側から合意を得られるかだ。ただ、07年にパート労働者の厚生年金加入拡大を議論した際に、企業側から国民年金についても天引きを検討する旨の発言があり、環境は整いつつあると厚労省は見ている。

 一方、社保庁が本人の申請なしに免除手続きするのは、06年に発覚した保険料の不正免除と外形的に同じだが、合法化して有効な未納対策として活用する。社保庁が掲げてきた「申請主義」の方針転換ともなる。

 社保庁が市町村から所得情報を得て、保険料免除の対象者を抽出。本人からの申請がなくても社保庁が免除手続きをできるようにする。

 国民年金の保険料は月額1万4410円だが、年収300万円以下(単身者の場合)の人は保険料の全額・一部免除の対象となる可能性が高い。実際に支払う額はゼロ、または3千〜7千円程度というケースも多くなりそうだ。

 免除対象者となれば未納者には含まれなくなり、その分保険料の納付率は上がる。また、未納のままだと無年金・低年金者となるが、全額免除の場合、将来の年金も保険料を満額払った場合の3分の1(09年度以降は2分の1)が保障される。

 所得の高い未納者に対しては従来通り、銀行口座の差し押さえなどによる保険料の強制徴収で対応する。(太田啓之) アサヒ・コムトップへ

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