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2008年04月17日(木) 11時04分

ビクター、家庭用薄型テレビ事業から撤退かオーマイニュース

 4月16日、複数のメディアが、日本ビクターは国内向け家庭用薄型テレビの生産・販売を、この夏をもって打ち切る意向だと報じた。ビクター側は撤退も視野に、来週25日に正式発表すると表明したという。

 ビクターにしてみれば、「最近は家庭用の薄型テレビが赤字続きだった」と言いますが、実際にビクターテレビを使っている人たちが、この打ち切りをどう思っているのかが気になります。

 現時点で国内6位の販売シェアを持つビクターの話によれば、「激しい競争と安くなっていく価格の中で、採算が取りにくい」のが打ち切りの理由だそうです。「家庭用については今後欧米向けに限定し、国内向けは業務用モニターに絞る」とのことです。打ち切りが正式に決定すれば、戦前の1939年に第1号機を完成させ、戦後、「テレビの父」と言われた高柳健次郎さんを迎え、NHK、シャープ、東芝との共同開発から続いてきたビクターテレビの歴史は、家庭用とは言え、幕引きを迎えます。

 わが家では数年前、当時のテレビが壊れた結果、ワイド画面のテレビを探していました。その時中古で、現在使っているビクターのパノラマ28型を購入したのです。

 ビクターテレビには「EEセンサー」と言う、現在まで使われてきている省エネ技術があります。部屋の明るさを感知するセンサーによって、画面の明るさを最適化する、環境への配慮と言う点ではよくできた機能です。今後生産や販売が打ち切られると、EEセンサー付きのテレビは消えていくことになるでしょうが、他社が「明るさセンサー」などの名称で、同じような機能を備えてくれていれば、環境面でもやさしいテレビが生み出されていくことでしょう。

■簡単リモコンはどうなる?

 さて、ビクターはテレビ事業の一部の打ち切りを決めましたが、生産や販売を打ち切ってほしくないものも当然あります。それは、「簡単リモコン」として有名なリモコン製品です。

 多くの家庭では、テレビのほかに、ハイビジョンレコーダーやビデオ、ケーブルテレビのチューナーなどをつないで、複数のリモコンをいじらなければならないケースが多いですよね?

 ビクターをはじめとするメーカーが、それらのリモコンをまとめて操作出来る簡単リモコンを相次いで商品化していることは、テレビと向き合うことに多くの時間を割いている人には助かる一品です。ぜひこれからも生産を続けてもらいたいものです。

 薄型テレビの競争が激しくなり、価格が下がることは消費者にはいいことかもしれません。しかし、そうした競争によって、戦後のテレビの歴史に大きくかかわってきたビクターが市場から追われた結果、われわれ消費者は、価格の下がった薄型テレビの選択肢を狭くする皮肉に直面していると言えそうです。

(記者:河村 崇)

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