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2008年04月17日(木) 02時34分

<道路特会>国交省・一般会計職員の出張費も3億円余支出毎日新聞

 国の一般会計から給与を受け取っている国土交通省の「一般会計職員」の一部が、道路特定財源を原資とする道路整備特別会計(道路特会)から、06年度で総額約3億3600万円に上る出張旅費を受け取っていたことが新たに分かった。一般会計職員の一部が道路特会から総額約3億5600万円の残業代を受給していたことが既に判明しており、06年度には少なくとも7億円近い額が道路特会から支出されていたことになる。使途が明確でない道路特会の在り方が問われている。【田中謙吉】

 民主党の大久保勉参院議員が入手した国交省の資料によると、都市・地域整備局などの職員が06年度、都市交通の調査などで英仏独などに海外出張した際、道路特会から1回につき1人あたり50万円前後の旅費が支出されていた。国内出張も含めると一般会計から支出される場合もあったが、受給総額の上位10人でみると、道路特会からの受給額が多い職員が9人を占めた。また道路特会から出張旅費として18億円が支出され、うち「特別会計職員」分が約14億7000万円だった。

 本来、道路整備のためにある道路特会からの支出については「道路整備事業、道路関係付帯工事及び道路関係受託工事に要する費用」との特別会計法の規定がある。しかし特別会計から旅費や残業代を支出するかどうかは事実上所属長の裁量になっている。国交省は「法律上問題ない」とし、使途や金額に歯止めが利かないのが実情だ。

 国交省は、地方整備局の一部職員と国道事務所の職員など計約8000人(06年度)を予算定員として、道路特会から給与や退職金などの人件費、さらに介護保険料まで支給している。一般会計職員は本来こうした特別会計職員とは別だが、実際には会計の境界があいまいにされている。一般会計職員の中には、1人で450万円の残業代や490万円のタクシー代を道路特会から受領した地方整備局職員もいた。

 冬柴鉄三国交相は16日の参院本会議で、地方整備局の支出について「無駄を一切省く視点から総点検を行い、経費の削減と支出の適正化を図る改革方針を検討している」と述べた。

◆問題視されている道路特会からの支出◆

国家公務員共済組合負担金 110億円

      (うち介護保険料1億円)

広報広聴経費        96億円

残業代           58億円

  (うち一般会計職員へ3.5億円)

退職手当          34億円

旅費            18億円

  (うち一般会計職員へ3.3億円)

タクシー代          4億円

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