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2008年04月16日(水) 03時02分

旧イラク大使館の銃はカラシニコフか 警視庁朝日新聞

 2年前まで在日イラク大使館が入っていた東京都港区赤坂8丁目のビルの解体工事現場で今年2月に銃2丁と実弾が見つかった事件で、2丁とも旧ソ連が採用した軍用自動小銃「カラシニコフ」の可能性が高いことが警視庁の調べでわかった。弾は銃に適合する約180発だった。

 旧フセイン政権崩壊を機に帰国した大使館職員が天井裏に隠した可能性が高いとみられている。同庁は今週から、現在の大使館関係者から事情を聴くが、当時の事情は把握していないとみられ、事実関係の解明は困難な状況だ。

 組織犯罪対策5課の調べでは、自動小銃2丁と実包約180発は、ビル1階の台所の天井裏から、布やビニール、新聞紙で一緒に包まれた状態で見つかった。警視庁科学捜査研究所が鑑定と発射実験をした結果、2丁とも発射機能のある真正銃と確認され、「AKS47」という初期の改良型に酷似しているという。実包はこれらの銃に適合するものとわかった。

 在外公館の建物・土地にはウィーン条約で不可侵権が認められているが、今回の銃と弾は退去後の建物から見つかったため、立件対象になった。同庁は、生産や流通過程を解明するため、国際刑事警察機構(ICPO)に銃の製造番号を伝えている。所有者が特定できない場合、最終的には銃刀法違反(加重所持)の時効(10年)前に、被疑者不詳のまま書類送検することになりそうだ。

 旧フセイン政権は03年4月に崩壊。当時の在日イラク大使館員はその前後に、帰国したとみられている。ビルには新政府の大使館員が入居し、引き続き業務を行った。その後、06年2月、大使館は港区高輪2丁目のビルに移った。

 関係者によると、旧フセイン政権崩壊直前、大使館には3人のイラク人がいた。新政権成立後、日本に戻って勤務した人もいたが、任期切れなどで全員帰国したという。

 警視庁幹部は「カラシニコフは高価な銃。政情不安で帰国した大使館関係者が、日本に戻ってくる可能性も考え、捨てずに隠していったのではないか」と推測している。

 イラク大使館は「捜査に全面的に協力するが、取材には応じられない」としている。

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